久々に一級建築士関連の投稿です。
製図試験って、学科試験とは違い、得点が目に見えるものではないので、どうやって準備を進めていったらよいか、困るところでもありますよね。
学科試験では独学で勉強を進めた方もいらっしゃるかと思いますが、製図試験では、製図ノウハウもなく、周辺に頼りになる先輩や仲間が教えてくれるなどしない限り、露頭に迷うことになります。そもそも予想問題も手に入らないので、練習量が足りず、かなり厳しい戦いになるかと思います。
なので、大体の方が、資格学校もしくは、通信講座を受けることになるかと思います。
私はS資格学院にお世話になりました。
そんな私が、無事一発合格出来た時の経験から、製図試験で押さえておきたいポイントをメモします!!あと、合格図面もなんとなく公開します。H26年度試験ですね。
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製図試験を一発合格するための10つのテクニック
1.問題文の正確なインプットが全て。
これはテクニックというより、心構えです。
いざ、問題文を見て見ると、結構、簡単な文章が並んでいます。
- エントランスホール●●平米
- 事務室○○平米
みたいな。
ひとつひとつは、なるほどねと読んでいくのですが、いざ、エスキスを開始してみるとこれがまあ、忘れます。
あれ、この部屋書いてないじゃんみたいな。この部屋とこの部屋接してないとダメじゃんみたいな。
要求の部屋がひとつなかった時点でほぼ失格です。採点の土俵に乗りません。
逆に言えば、いくら図面が汚くても、要求されていることが問題なくかけていれば、いくらでも勝負できるということ。
正確なインプットこそ、合格の絶対条件なのです。
そのためには、問題が配布されたら、2回問題文を読む。エスキスが終わったら問題文を読む。躯体が書き終わったら問題文を読むと、何度でもここに戻ってきましょう。
ここには時間を使うべきです。この問題文に書かれていることが「全て」だからです。
2.アウトプットはゾーニングが全て。
さて、インプットが完璧になったところで、アウトプットです。
最近の一級建築士製図はかなり自由度が高く、必要諸室の要求面積も「適宜」となっていることが多いです。
ということは、最終的なアウトプットはかなりバラバラになるということ。
実際、公式サイトが公表している標準解答例は2種類ありますが、どちらも全然内容が違いますよね。インプットは同じなのに。
だから、アウトプットに正解はありません。でも、ゾーニングには正解があります。
なぜなら、それぞれの部屋の大きさの要求はまちまちですが、諸室の関係性はしっかり要求されているからです。
◯◯室はエントランスに面しているべき。●●室は景観に配慮すべき。
ひとつひとつの“べき”が集まって建築計画にまとめられるので、ここだけはしっかり解かなければなりません。
このゾーニングに独断と偏見は存在しません。
●●室は××室と近い方がいいのではないか?みたいな疑念が生まれたとしても、勝手に思い込まないでください。問題文に書かれていなければ、そうする必要は全くありません。
3.とにかく筆圧は濃く!断面線はこれでもかと太く!
ゾーニングが完成したら、もうあとは実際の図面に落とすだけ。
製図道具の使い方は、もう覚えてますよね?
平行定規の横線の引き方、三角定規の縦線の引き方。とにかく慣れてください。素早く綺麗に書ける方法を編み出してください。
そして、躯体を書くときのポイントは一つだけ、とにかく太く!濃く!
絶対太い図面の方がかっこよいです。へなちょこな線だと自信がないように見えます。
自信がなさそうな図面だと、なんとなくあら捜しを始めてしまうのが人間の性。
柱、壁、断面線はとにかく強く書きましょう。シャーペンを一つ太くしてもよいくらいです。これは、マジで。
4.細かいところは全部手書きで大丈夫!でも、文字は読めるように丁寧に!
ゾーニング、躯体の線まで引けたら、あとは、要求されている添景や階段、文字の書き込みですね。
これも、問題文に書いてあるものは全て描き切りましょう。特に部屋名が書かれていない場合、要求室がないものとみなされるので、気をつけて下さい。
でも、階段、添景は手書きでも構わないと思います。
私が最初、製図を始めた時は、なんでも定規を使わなければならないと考えており、10時間くらいかけて図面を完成させたものです。(実際の試験時間は全部で6時間30分)
図面はスピードが命。短い線や細い線は手書きでそれなりの直線が引けるように練習しましょう。
階段も段数さえ合っていれば、手書きで構わないと思いますよ。
ただ、文字だけは魂を込めて書きましょう。文字が読めないとそれだけで採点する気がなくなります。
そして、文字が読みやすいと、完成度が1.5倍くらいに見えます。
5.梁伏図、構造・設備計画のセオリーを覚えよう!
平面図、断面図はいわゆる基本図面なので、学生でも違和感なくかけるかと思いますが、梁伏図、構造・設備計画については、なかなか慣れていないのではないでしょうか。
ということで、ここだけは、テキストを見るなり、ネットを見るなりして、しっかりと知識を得ましょう。
特に、構造・設備は設計意図を記載する必要がありますので、基本的な文面を暗記するなり、対策を練る必要があります。
6.添景のスケール感を覚えよう。
先程、添景は手書きでよいというお話をしましたが、
たとえば商品棚や机の大きさ等、スケール感がくるっているととたんに陳腐な図面に見えます。
最低限の寸法は暗記しましょう。よっぽどスケールが逸脱してなければ、違和感なく受け入れられるはず。
7.計画の要点は完結に。誇張表現は厳禁。誠意を持って!
意外と配点が高いとウワサの計画の要点。
ここは、基本的に嘘さえつかなければ大丈夫だと思います。
自分が設計した建物のことをとにかく「簡潔に」、「誠実に」、「丁寧に」書けば思いは伝わるはず。
ここも時間がないから!といって、雑に文字を書くと、採点官の心証はサイアク。焦りつつも、読める文字で丁寧に書く必要があります。
8.他人の設計図面をたくさん見よう!!
製図試験はなんだかんだいっても「相対評価」です。なぜなら、各県で合格者を出さないといけないからね。
だったら当然同じ予備校に通っている人々は、仲間でありライバル。その人たちがどういったレベルの図面を書いているのかは逐一チェックしておく必要があるでしょう。自分が採点官のつもりで、人の図面を見ると気づくこともいっぱいありますよね。自分で解くよりも。数倍の学習効果があると思います。
9.出来れば10回以上添削を受けよう!!
いくら自分の回答を見直して、過去最高の出来だぜ!って言ってみても、結局見るのは採点官。
他人の目が肝心です。予備校の先生は結構キツイことを言うかもしれませんが、これも愛のむち。
なんで高い金払って怒られなきゃいけねーんだ!みたいな傲慢な気持ちは捨て、ただただ先生のいうことを聞くと、徳が積まれてよいことがあるかもしれません。
10.見直しは「致命的な点」から確認すること!!
最初にも言ったように、設計製図の採点では、一つミスっただけで失格になるレベルのポイントがあります。
部屋がない、階段がない、とかね。もう建築として使えないやん!施主がみたら即刻クビ。みたいな図面ですね。
「そんなミスするわけないっしょ。バカかよ。」と、お思いのあなた。そういう人間が本番でそういうミスして、悲しい思いをするのです。
見直しは「初歩の初歩から」。これ、鉄則。
私は、試験最後の模試でこの初歩的なミスをやって全く採点されないという戦慄の想いを経験しました。。。本番じゃなくてよかったと今でも思います。
私の合格図面
皆さんの役に立つかは不明ですが、H26年実施の「温浴施設のある道の駅」で合格した復元図面をアップしておきます。ご参考まで。問題内容は、公式サイトにてご確認ください。


最後に!!
以上、製図試験を戦う上でのテクニックをお伝えしました!
製図試験は独特なものなので、だれもが初心者。だったら、既受験者の方が強いんじゃないの?
いやいや、初受験でも十分に戦える余地はあります。なぜなら、1ヶ月半、本気で練習すれば、全然既受験者に「技術的には」追いつけるからです。
8月から勉強を始めても、10月の試験前までにかならずちゃんと書けるようになります。
あとミスをなくすかどうかはあなた次第ですね。。。
学科合格しても浮足立たず、焦らず、コツコツと。大丈夫、合格はすぐそこにあります。
![]() 一級建築士合格戦略製図試験のウラ指導(2015年版) [ 荘司和樹 ] |