今、私がかなり気になっている存在、”清竜人”。
清竜人は、でんぱ組.incの楽曲や声優の堀江由衣などに楽曲提供する傍ら、”一夫多妻制アイドルユニット”「清竜人25」として活動している男性アーティストである。
一夫多妻制アイドル・・・?
アイドル界のタブーっぽい響き。このコンセプトだけですでにかなり土俵際な感じもするが、実は「清竜人25」は、今アイドル界隈でかなり台風の目になっているヤバい存在なのだ。
なにがヤバいって、重箱の隅をつつくようなコンセプトのアイドルたちが日夜考え出されては消えていく群雄割拠のアイドル戦国時代において、清竜人は、そうした人間の想像の遥か斜め上を圧倒的なスピード感でもって突っ走ってるところである。
今回はそんな清竜人25のヤバさの秘密と魅力について、メモしたい。
- sponsored link -
清竜人25のヤバいところ
竜人から溢れ出るナルシズム
清竜人25とは、清竜人とその妻6人から構成されたアイドルである。清竜人25の女性陣は全員清竜人の嫁という設定である。
・・・なにを言っているんだ、こいつ。と思った方も多いだろう。私も何を言っているか分からない。正直この時点でかなり意味不明だ。。。
そもそもアイドルは、英語の「idol(偶像、崇拝の対象となる人物、英雄的存在、熱狂的なファンを有する人物)」が語源といわれる。
このユニットにおける”アイドル”というのは竜人の事を指すのか。それとも夫人たちのほうなのか。夫人は、いわゆるアイドルのような出で立ちとパフォーマンスを行っているが、仮に夫人がアイドルだとしたら、その夫でかつステージのセンターで我が物顔で歌って踊っている竜人は、ファンにとってどういう存在なのか。。。
しかし、そんな疑問や謎が浮かんで気になってきた時点で、あなたはすでにこの清竜人25の術中にはまっている。そんな考えは竜人の前に全く無意味だ。
なぜなら、清竜人25は「清竜人がやりたいことをやりたいようにやってるだけ」のプロジェクトだからである。清竜人の圧倒的想像力の中では、アイドルの設定などほんの些細な一要素に過ぎない。このことは曲やPVを見ていただければわかっていただけるだろう。
3rdシングル「Mr.PLAY BOY…?」の冒頭の歌詞に注目してもらいたい。
Yo Yo スケベ スケベ 電光石火のスケベ スケベ
Yo Yo スケベ スケベ 空前絶後のスケベ スケベ
Yo Yo スケベ スケベ 年中無休のスケベ スケベ
Yo Yo スケベ スケベ 前代未聞のスケベ スケベ
曲の冒頭では、なぜか自分の嫁にいきなり「スケベ!スケベ!」と清竜人が罵倒されている。こんなアホな歌詞をやたらと良質な曲に乗せてパフォーマンス出来るのはこの世に竜人ただ一人に違いない。
この曲の後半でも、スケベと罵られながらも、ナルシズム全開で清竜人本人の甲斐性を歌い上げる逞しさが感じられる。そのモテ男ぶりにもうメロメロだ。気になる方は、動画をご覧いただきたい。
清竜人のモーレツな過去
ここまでの紹介で、すでに清竜人が気になってきた方も多いのではないだろうか。しかし、清竜人の魅力をより深堀するには、彼の過去にも触れておく必要がある。
もともと清竜人は、サブカル界で人気のシンガーソングライターだった。1stシングル「痛いよ」の発表後、その繊細な歌詞と透明な歌声でファンを獲得していき、飛ぶ鳥も落とす勢いで人気を獲得していった。
これを聴いてみてほしい。
マザー・テレサも気にかけないくらい
ぼくは健やかに生き延びている何不自由なく歩いている
その上おもしろいものも腐る程あるし 楽しいことだって沢山ある可能性もある 明日もあるよ幸せだな
でもね 本当は ヘルプミーヘルプミーヘルプミー
心から ヘルプミーヘルプミーヘルプミー
二作目のアルバム『WORLD』のヘルプミーヘルプミーヘルプミー。
清竜人がまだそれなりに普通だった頃である。
曲も詩も文句なしに素晴らしい。アコースティックな曲調と、人の心に優しく触れるような歌詞、フェミニンな歌声と合わせて繊細で純粋な歌である。
その後、三作目までは同様の路線を突き進む。この類稀な優しい曲にメロメロだったファンも多いはずだ。
ただ何が竜人に起こったのか、4thアルバム『MUSIC』あたりから「アコースティックフェミニンオシャクソ野郎」の路線から大胆に脱線し始める。個人的に一番好きな時代の到来である。
何かに目覚めてしまった清竜人の、伝説の『MUSIC』再現ライブ時の映像。多くのファンは衝撃を受けたに違いない。かつての竜人は一体。。。
でも・・・なんだか、楽しそうである。
アコースティック路線からアイドル系打ち込み路線への転向。この音楽性の変化には、やはりアニソン文化が入ってきたに違いないと思われる。事実、清竜人は、2011年2月に自身が敬愛している堀江由衣の楽曲「インモラリスト」を作詞作曲している。そして、4枚目のアルバム『MUSIC』が発表されたのが、2012年5月。この1年の間になにかあったに違いない。
『MUSIC』には、堀江由衣に楽曲提供した「インモラリスト」のセルフカバーを始め、突然アイドルソングに目覚めた清竜人が作ったこれでもかと痛すぎる曲が大量にぶち込まれている。
特徴は、ミュージカル調の曲の激増。「アニソン・ミュージカルオタク路線」への転向がすごい。そして、なにがすごいって、曲の完成度が高いのがすごい。ぶっ飛びすぎてて解釈が難しい曲も多いけれど、天才シンガーソングライターの実力を見せつけるアルバムである。
かくして天才過ぎるがゆえのスピード感で、突然アイドルに目覚め、ファンを置いてけぼりにした清竜人。
その領域で確かな感触をつかんだのか、自分でアイドルユニットを結成しちゃったのが2014年9月。そう、何を隠そう一夫多妻制アイドル“清竜人25”の誕生である。
異質なコンセプトを支える圧倒的な完成度の楽曲
そんなこんなで、6人の”嫁”を従えた清竜人から2014年末にリリースされた、デビュー曲「Will?You?Marry?Me?」。
…むむ?これ、めっちゃ良い曲なのでは。。
『MUSIC』はやりたい事が暴走してしまった結果、竜人の変態性が前面に出過ぎてしまって理解に苦しむ部分が正直あった。しかし、その時代からだいぶこなれてきた感じがする。
コンセプトがしっかり伝わる歌詞に、竜人の高音ボイスと婦人たちボーカルがうまくマッチした心地よさ、ちょっぴりファンクなノリの心地良いメロディ。清竜人の変態性は残しつつも絶妙なバランスで、良質なアイドルソングになっている。
「これは来た!」と思わせる完成度の曲に、思わず震えた。その後の曲もコンセプトを踏襲しながら、それぞれが一辺倒な音楽ではなく、新しさを感じさせる曲になっている。
類稀なプロデュース力
そして、竜人の魅力を語る上では、なによりその卓越した「プロデュース力」が欠かせない。
竜人のライブでは竜人が歌って踊り、嫁にちょっかいをだしイチャつき、観客がそれを囃し立てるという流れが恒例になっているそうである。
一見、アイドル現場らしからぬ雰囲気であるが、これがかなり盛り上がるとのこと。なぜなのか。
従来のファンとアイドルの関係は、ファンがアイドルの女の子を応援するという一対一の関係であった。コールアンドレスポンスや合いの手、口上などでファンとアイドルの一体感を築いていた。
ところが、清竜人25の場合、ファンと女の子の間には清竜人がいる。そして、竜人は可愛い女の子といちゃついている。観客は竜人を羨ましがるが、竜人は当代きってのモテ男を演じ続けている。そこには入り込む余地がない。お似合いのカップルを見たときに周囲の人が幸せを感じるように、入り込む余地がない関係を見たときに生まれるのは嫉妬ではなく、純粋な喜びや応援である。そのような感情を観客に感じさせることによって、会場とパフォーマーの間には、”暗黙の了解”が生まれる。その関係性は「演劇」である。竜人は演劇を観る快感をパフォーマンスに持ち込んでいる。
こうした徹底した姿勢を背景として、飽和状態のアイドル業界において清竜人25はわかりやすい独自性を生み出し、確実に光り輝いている。彼はシンガーでありソングライターであると同時に、優秀なプロデューサーでもある。
楽曲提供のクオリティも高い
このようにアイドル文化を分析し、自分のものにした清竜人は、その作曲家としての才能を活かし、自分のユニット以外のアイドルにも楽曲提供を行っている。
例えば、私の大好きなでんぱ組.incや堀江由衣はもちろん、最近はももいろクローバーZにも楽曲提供を行っている!!そして、それらの曲のクオリティも案の定高い。高すぎるのである。
最後に!!
以上、色々と竜人のことを語らせていただいたが、清竜人25は2015年9月に1stアルバム『PROPOSE』をリリースし、2016年4月には、中野サンプラザで初のホールワンマンを控えており、今がかなりアツい時期なのだ!
そして、清竜人の飽きやすそうな性格からして、突然解散と言い出してもおかしくないユニットでもある。だから今、この時を最高に楽しまなければならない!!
2016年2月にリリースされた「LOVE&WIFE&PEACE♡」は、過去の竜人に戻ったかのような爽やかで多幸感溢れる曲。竜人の曲調の変化はいつだって突然で超スピードで、いつどうなってもおかしくないのである。
アイドルとかそんな括りを抜きにしても圧倒的に魅力的な一夫多妻制アイドル、清竜人25に大注目ですよ!みなさん!!