【感想】もはや芸術祭!『サンシャワー 東南アジアの現代美術展』のエネルギーが凄まじい。〜森美術館編〜

やあやあ、能ある鷹h氏(@noaru_takahshi)だよ。

2017年7月5日〜10月23日より国立新美術館&森美術館の2館で同時開催されている『サンシャワー 東南アジアの現代美術展』に行ってきました。

サンシャワーって爽やかで夏らしい良いタイトルですよね。東南アジア圏では日常となっている「お天気雨」という意味です。晴れているのに雨が降っている、不思議な現象ですよね。

さて、皆さんは東南アジアの現代アートと聞いて何を思い浮かべるでしょうか。

私はこの展覧会に行く前までは何も思いつきませんでした。。でも今回の展示を見て、東南アジアの温かい風土やASEAN諸国を取り巻く諸問題など、多くのことを知ることができました。

その理由は、東南アジア10ヶ国86組のアーティストが参加するという規模の大きさ。この規模はまるで芸術祭レベル。

日本や中国、欧米諸国とは異なる問題意識や死生観が感じられる素晴らしい展覧会でしたので、展覧会の様子と感想を簡単にメモしておこうと思います。

とにかく展示量が多いので美術館ごとに2記事に分けてご紹介します!今回は森美術館編です。

【2017/7/20追記】

国立新美術館編はこちら!

【感想】『サンシャワー 東南アジアの現代美術展②』アートを通して感じるASEAN諸国の叫び〜国立新美術館編〜

2017.07.21


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展覧会の概要

まずは公式サイトの概要をご紹介します。

人口約6億人。多民族、多言語、多宗教の東南アジア地域ではダイナミックで多様な文化が育まれてきました。経済発展が目覚ましい近年、その現代アートの動向にも世界中から大きな注目が集まっています。

「天気雨」を意味する展覧会タイトル「サンシャワー」は、東南アジア地域では頻繁にみられる気象現象であり、紆余曲折の歴史を経てきた同地域を表すメタファーでもあります。

本展は、時代の潮流と変動を背景に発展した東南アジアにおける1980年代以降の現代アートを、9つの異なる視点から紹介する、史上最大規模の展覧会です。

どこか懐かしく、まったく新しい東南アジアの姿――私たちの固定観念を覆す、ダイナミズムに満ち溢れるその息づかいを体感してください。

なんともワクワクする展示内容ですね。

現代アート作品は、アーティストが生きてきた社会背景が反映されていたり、その個人の人生観が切り取られることによって形作られます。

東南アジアは多くの国が列強諸国の植民地となった歴史があります。戦後の植民地時代からの独立、各地での戦争や内戦、民主化のプロセスを経た、激動の時代がアート作品に反映されています。

写真、映像、絵画、立体、インスタレーションなどさまざまな現代アートを通じて、東南アジアの今に対しての理解を深めることが、展覧会の狙いの一つとなっています。

今回の展覧会は、2年半に渡り、14名のキュレーターが代わるがわる現地に向かい、10ヶ国から86人のアーティストの作品を厳選し集めたそうです。調査の様子は、こちらから見ることができます。

国立新美術館と森美術館で同時に開催し、大量の展示作品からキュレーター陣が感じた東南アジアの躍動感、リアリティを感じることができます。

『サンシャワー展』の様子をレポート@森美術館

展覧会は9つのセクションで構成されています。

国立新美術館では、以下の5セクション、

  • 「うつろう世界」
  • 「情熱と革命」
  • 「アーカイブ」
  • 「さまざまなアイデンティティー」
  • 「日々の生活」

森美術館では、以下の4セクション、

  • 「発展とその影」
  • 「アートとは何か? なぜやるのか?」
  • 「瞑想としてのメディア」
  • 「歴史との対話」

を見ることができます。

会場はほとんどの作品が撮影可能です。撮影禁止な作品にはマークが付いているのですぐにわかります。SNSで積極的にシェア出来るのは楽しいですね!

以下、気になった作品を抜粋してご紹介します。

森美術館の展示内容

まずは森美術館に向かいます!

アピチャッポン・ウィーラセタクン+チャイ・シリ 《サンシャワー》 2017年

会場に着くや否や待ち受けている体長8メートルの巨大な象のモニュメント。さらに象の上に浮かぶ色の変化する光の円盤が神秘的です。展覧会のタイトルにもなっている『サンシャワー』という作品です。

本作のモチーフになっている白象は、タイでは国王がほかの象と区別し官位を与えるほど特別な扱いを受けているそうです。その特別な存在が横たわって浮遊している不思議な光景は、まさに「天気雨」のように東南アジアの両義性を表しているようです。

ジャカルタ・ウェイステッド・アーティスト(JWA) 《グラフィック・エクスチェンジ》 2015年

大小様々な商店が使ってきた看板を譲り受ける代わりに、新しい看板のデザインと制作を無償で引き受けるというプロジェクト。

看板を交換する様子や看板を制作する様子が動画になっています。看板にこだわりあある人から全く興味がない人まで、それぞれの看板の雰囲気や商店のオーナーの要望からその街の歴史が透けて見えるようです。

リム・ソクチャンリナ 《国道5号線》 2015年

ハイウェイの拡幅工事が沿道の住宅地に与えた影響を捉える写真シリーズ。この国道5号線の工事には日本の資金も充てられているのだそうです。

道路によって真っ二つに分断されている家や宙に浮いてしまった家など、「急速に進む開発」と「失われる既存の風景」との間に言いようもない虚しさや悲哀を感じます。

アディティア・ノヴァリ《NGACOプロジェクト──国家への提案》2014年

インドネシア語で「でたらめ」を意味する口語表現「Ngaco」をブランドとして展開し、日用品の国家の安全基準を皮肉る作品。

2人の女性がレンガやペンキについてテレビショッピングのような映像が流れています。よく見ていると、大きいレンガは普通の値段。少し小さい方は25%オフ。もっと小さいのは、50%オフ。さらに小さいのは75%オフ。もっと細かいクズみたいレンガは90%オフという値段設定。

小さいんだから当たり前でしょ?と思うかもしれませんが、クズみたいなレンガしか買えない所得層は一体何を作れば良いのでしょうか。。発展途上国で広がる貧国と格差、そんな問題が透けて見える作品です。

ジョンペット・クスウィダナント《言葉と動きの可能性》2013年

色とりどりの旗とエンジンを取り外したバイクが並ぶ作品。カラフルでフォトジェニックな作品ですが、自由貿易によって生まれる巨大市場に海外資本が流入する中で、バイクが川のように流れる伝統的な風景は一体どうなってしまうのでしょうか。

チャン・ルーン《マオ・ケー炭鉱プロジェクト》2001年

アーティストと炭鉱で働く炭鉱夫達と交流させるフィールドワーク。その一環として行ったパフォーマンス『スチームライスマン』です。石炭の粉に覆われた街や工場の真ん中で全身に白米を塗りつけ、農夫と炭鉱夫、米と石炭、白と黒を対比させようと考えました。

米粒に包まれる男の姿はとても滑稽ですが、過酷な炭鉱夫の生活を鮮やかに示しています。

コラクリット・アルナーノンチャイ 《おかしな名前の人たちが集まった部屋の中で歴史で絵を描く 3》 2015年

目まぐるしく変化する映像と自作のヒップホップが流れる中、テレビ、映画、サッカー中継など、タイの現代社会の様子が断片的に描かれています。

ヒップホップの歌詞は哲学的で神話のような内容で、サイバー社会を象徴するケーブルやドローン、高層ビル群といった近未来的な世界をどう捉えるべきなのかを考えさせられます。

アルベルト・ヨナサン《ヘリオス》 2017年

2000個に及ぶ2種類の陶器が壁一面に埋め尽くされています。陶器の形はキリスト教で光を象徴する天使セラフィムと花のモチーフとなっています。

シンプルなパターンの繰り返しの中に神秘的な美しさや荘厳さを感じます。

トゥアン・アンドリュー・グエン《警告》 2017年

サイ

ちくしょう、ごめん、ストレスがすごいんだよ。最近。

たぶん、自分がもう存在していないってことへの恐怖なのかな。望まれてないっていうか。

色鮮やかな電光掲示板には、サイ、センザンコウ、ドラゴンが登場し、人間たちに乱獲・密売される動物達の現状がユーモラスに語られています。

ヴァンディー・ラッタナ《爆弾の池》 2009年

1980年生まれのカンボジアの若手アーティストによる風景の中に丸い池がある写真シリーズ。ベトナム戦争時にアメリカ軍に落とされた爆弾によってできた池で、今もその記憶が風景に残っていることが示されています。

イセ《もうひとつの物語》 2017年

マレーシア・クランタン州で1941年〜1945年に起こったことを当時を知る地元の人々へのインタビューを元にジオラマ、ドローイング、ポスターなどを制作しています。

歴史に描かれる物語とは異なる私的な物語を収集することで当時の生々しい物語が瑞々しく伝わってきます。

フェリックス・バコロール 《荒れそうな空模様》2009年

1000個を超える風鈴が風に揺れ音を奏でるインスタレーション。プラスチック製のキラキラした飾りは、いかにも東南アジアらしいです。

その伝統的な装飾が大量生産され、絶えず揺れ動いている様子がグローバル経済に飲み込まれつつあることを予感させます。

展覧会の感想

ここまで見ても分かるように東南アジアが戦後晒されてきた激動の社会状況、また現代の目まぐるしい経済発展の状況が伝わってきます。

個人的に興味が惹かれたのは伝統文化と現代性のどちらも感じられる作品です。森美術館の展示は特に歴史を重視した作品が多かったように思います。

現代アートは20世紀前半にはじまり、当時も今も発祥地たる欧米を中心に回っているのは疑いようのない事実ですが、東南アジアの現代アートはその国々が持つ多様な文化によって、他のどこの国でも見られない独特のアートの世界観を作り上げていました。

これからも変わりゆく社会の中で、どのような斬新な現代アートが生み出されていくのか楽しみでなりませんね!!

最後に!!

以上、今回は森美術館会場の様子をざっとお伝えしました。

国立美術館会場もたくさん魅力的な作品がいっぱいでしたので、夏休みは「サンシャワー展」で東南アジアの風を感じてはいかがでしょうか??

 


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鷹h氏 (@noaru_takahshi) の戯言

鷹h氏
東南アジアに旅行へ行くと、人々の勢いに元気をもらえますが、今回の展覧会も似たような気持ちになりました。

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