
やあやあ、能ある鷹h氏(@noaru_takahshi)だよ。
先日、しりあがり寿さんの個展、回転展に行ってきました。
しりあがり寿さんといえば、独特のシュールで批評精神に満ちたギャグ漫画!!
でも漫画だけでなく、アートの世界でも活躍されているんです!
この展覧会は、初の美術館での個展ですが、絵画作品やジオラマ、日用品から映像まで、あらゆるものが回る、回る!漫画のシュールな世界観はそのままに、批評に満ちた面白い作品ぞろいでしたので、メモしておきたいと思います!!
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しりあがり寿とは
しりあがり寿さんといえば、宮藤官九郎監督が映画化した『真夜中の弥次さん喜多さん』や朝日新聞夕刊に連載中の4コマ漫画『地球防衛家のヒトビト』で有名な漫画家です。
2001年には『弥次喜多 inDEEP』で第5回手塚治虫文化賞「マンガ優秀賞」を受賞しています。
非常にラフで一見描き殴りのような「ヘタウマ」の作風ですが、手塚治虫に「この人は実はものすごく絵がうまい人だ」と評されたこともあるとのこと!
漫画界での活躍で知られるしりあがり寿さんですが、実はアートの領域でも積極的に活動されています。
2014年春に箱根彫刻の森美術館で開催されたグループ展「ミーツ・アート 森の玉手箱」に、イチハラヒロコ氏や北川貴好氏とともに参加されていました。他にもしりあがり寿さんのイラストは@TAGBOATでも売れ筋になっているほど人気作家なのです。
そんなしりあがり寿さんの初めての美術館での個展が7月3日(日)~9月4日(日)に練馬区立博物館で開催される「しりあがり寿の現代美術 回・転・展」です。
「回・転・展」様子をレポート!!
早速回転展の当日の様子をご紹介します!

入り口もちょっと斜めになっています。あと、「転」の字がぐるぐる回っています。

1Fは漫画の展示になっています。

<祭りの夜>デビュー当時の作品です。現在のヘタウマな絵よりもよく書き込まれていて、絵のタッチが古風でシブいですね。当時から内容は圧倒的に面白いです。

<流星課長>当時サラリーマンだったしりあがり寿さんらしい、社会人あるあるをギャグ漫画化しています。

<他所へ…>こういうポエティックな作品も魅力です。

<弥次喜多 inDEEP>メビウス!弥次喜多の独特の世界感が現れている一コマ。

<地球防衛軍のヒトビト>朝日新聞の夕刊で連載されている4コマ漫画。2002年から続いているそう。

2015年の作品。最新の漫画アート。金箔がおしゃれです!

<崩>墨絵のインスタレーション。落書きのようでいながら迫力を感じる大作。
続いて2階へ。

2階はいきなりゆるめーしょんと呼ばれる、ゆるーいアニメがたくさんの画面で放映されています。


<北斎の旅>これ、5分くらいある映像作品なのですが、ついつい全部見てしまいました。意外と北斎の表情が豊かなことと、身体の動きがぬるぬるしてて面白い!!
続いてはいよいよ回転インスタレーションへ!!

入り口にはおもむろにやかんが置かれています。そして、壁には「回転宣言」が。

回転宣言
ヤカンが静かに回りだす
ゆっくりゆっくりくるりくるり
その姿はこのうえなく美しい
しかし回りだした瞬間、それはもう元のヤカンではない
水も汲めない、湯も沸かせない、ただ静かに存在感を放つだけの金属だ
そんな機能も目的も失ったヤカンの存在を許す場所はどこだろう
それは台所でも食堂でも金物屋でもショーウィンドウでもない
そう、それは美術館
故にヤカンは回って芸術となった
思えば回転は人類の歴史の始まりから
否この世界の成り立ちから我々と共にあり
大きく回り小さく回り
存在の根源を仄めかし、現れる諸相を巻き込み
いまや直線的な歴史の放棄を迫られた人類に
回転にこそ、その未来があるのだと覚醒を促す
素粒子が回り、銀河が回り、歴史が回り、我々も回る
グルグルグルグルグールグル♪
回れ回れ、回転に幸あれ!
2016年7月 しりあがり寿
…ふむふむ。なにかすごいことを言っているようで、なんだかよく分からないぞ。
とにかくしりあがり先生は「回転」に特別な感情をいだいているみたいだ!!ぐるぐるぐるぐーるぐる♪

<回るアトリエ>2013年~2014年の作品。アトリエにあるものが全部回っています。これじゃあなんにも作業できない!!壁の静物画も回っておる!!なんかめまいがしているみたいだ!

<回る歴史>個人的に面白かったのは回る歴史のアニメ。ぐるぐるぐるぐるぐーるぐる♪歴史上の人物がみんな回りながらしゃべっています。超シュール。シュールすぎる世界観。

なぜか係員さんの椅子も回転しています。。

個人的な歴史もぐるぐる回っております。

<回る白昼夢>ゴミのようなものから、ゴミっぽいものまでグルグル回っています。ゴミがこれだけ回っているとなんか狂気を感じます。

寿ナプキンも回転してました。
感想!!
さすが、デビュー30周年、数々の笑える作品で知られるしりあがり寿さんの個展。
なんかゆるいけど、どこか批評的で鋭い。おバカなのにマジメ。笑いと緊張感のバランスが絶妙で、ついつい世界に引き込まれてしまいます。
初期の漫画から通底した「しりあがり寿」ワールドが惜しげもなく披露されている展覧会でした。
そして、何と言っても圧巻なのは600点にも及ぶ物がクルクルと回転する景色!
現代アートって難解で堅苦しいんでしょ?とお思いのあなた!!この展覧会で身近な現代美術に触れてみては!!
きっとしりあがり寿ワールドに魅了されてしまうはずです!!
【基本データ】
【開催期間】2016年07月03日(日)~2016年09月04日(日)
【会場】練馬区立美術館
【住所】東京都練馬区貫井1-36-16
【電話番号】03-3577-1821
【休館日】月曜日(ただし、7/18は開館)、7/19
【開館時間】10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)
【入場料】一般800円/高校・大学生および65~74歳600円/中学生以下・75歳以上無料、その他割引制度あり※要年齢等証明書
【公式サイト】http://www.neribun.or.jp/museum/