【感想】『Reborn-Art Festival 2017@石巻』芸術祭を通して向き合う被災地の“現在”。

やあやあ、能ある鷹h氏(@noaru_takahshi)だよ。当ブログの記事をお読みいただきありがとうございます。

私の実家に帰省する機会を狙って、7月22日(土)から9月10 日(日)まで、宮城県石巻市で開催中の「リボーンアートフェスティバル2017」に行ってきました。

このイベントはアート・音楽・食を柱とする新しい総合祭というコンセプトのもと、石巻市街地とその南東に広がる牡鹿半島を舞台として、日常を問い直す多くの作品が展示されます。

初開催となる本展は、個人的に思い入れのある石巻での開催ということもあってワクワクが止まりません。

実際に訪れてみて、かなり広大なフィールドに魅力的な作品がたくさん詰め込まれており、石巻が持つ歴史や文化、風景を味わうことができる芸術祭だと感じました。

今回は丸一日かけて会場をぐるりと巡ってみましたので、展覧会の様子と簡単な感想をメモしておこうと思います。



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Reborn-Art Festival 2017について

開催概要は以下の通りです。

アート×音楽×食で彩る新しいお祭りを東北に

Reborn-Art Festivalとは、「アート」「音楽」「食」を楽しむことのできる新しいお祭りです

このお祭りでは、石巻中心市街地と牡鹿半島にて、国内外の現代アーティストたちの作り上げた作品が地元の方々の協力のもと展示され、さまざまなスタイルの音楽イベントが開催され、
さらには、石巻を含む東北のシェフのみならず、国内外の有名シェフたちによる地元の食材を使ったここでしか味わえない食事をいただくことができます。

今、生まれ変わろうとしている東北だからこそ、他では出会うことのない価値観や人に出会うことができる。

今まで出会うことのなかった自分にさえ、出会うことができるかもしれない。

「Reborn-Art」とは、東北の再生を指すだけでなく、参加する人それぞれの「Reborn」を願うお祭りです。

一般社団法人APバンク 代表理事である小林 武史さんが中心となって生まれた新しい総合祭です。

実際2017年7月28日〜30日には、国営みちのく杜の湖畔公園にて音楽フェスである「Reborn−Art Festival2017×ap bank fes」が開催されました。

今回の展示エリアは以下のとおりです。

主に石巻市街地と牡鹿半島が会場です。とはいえ石巻駅から牡鹿半島の鮎川は車で1時間かかるため、全会場をじっくり巡るには2日は必要かなと思います。

公共交通機関でも、リボーンアート・バスという無料バスと、路線バス(石巻鮎川線)を乗り継いで全会場向かうことが出来ますが、それほど本数が多いわけではないので、自動車を使ったほうが効率的に回れると思います。(駐車場も各会場に用意されています)

全ての作品で写真撮影は可能と思われます。

当日の様子をレポート

私が巡った当日のコースは、

  1. エリアC(牡鹿半島中部エリア):桃の浦地区、牡鹿ビレッジ
  2. エリアD(牡鹿半島先端・鮎川エリア)
  3. エリアA(石巻市街地エリア)

の順です。交通手段は自家用車。朝10時半に桃の浦地区に到着しましたが、当日は残念ながら土砂降りの大雨。ゆっくり見て回ったこともあり、エリアB(石巻市周辺エリア)は時間の制約上断念しました。

以下は当日の観覧ルートに従って気になった作品をご紹介します。

まずは桃の浦洞泉寺会場に向かいます。こちらでパスポートをGET。写真の作品はギャレス・ムーア《数える噴水》。門型の構造物の足元には水道栓があり、少しずつ水が滴っています。

洞泉寺にあるもう一つ作品Chim↑Pom《ひとかけら》。地下へ降りていくと埋まっているのは巨大な冷凍コンテナです。

極寒で真っ暗な闇で光る凍結した水滴。東日本大震災で被災した方々の涙。

ちなみにリボーンアートフェスの作品ではありませんが、洞泉寺には2013年グッドデザイン賞金賞受賞のコアハウスが建っています。外壁も建設当初より渋くなっていて風格があります。

続いて、荻浜小学校会場へ。平成26年4月1日から休校となっている学校です。それぞれの教室に地元の作家さんの作品などが展示されています。

こちらは乃村工藝社の《牡鹿の望遠鏡》。円筒が並んで牡鹿半島の形となっています。その後ろには海をイメージした青く透明のフィルム。

紙管を覗くと各浜の説明が。背景には爽やかな青。ポエティックでよくまとまった展示です。

林貴俊《De la mer bleu kokeshi》。様々なキャラクターが描かれた青いコケシがこちらを見ています。

屋上に展示されているのは平井慶祐《食べモノの先っちょにある風景》。浜の漁師たちの姿が非常に迫力ある大型写真として展示されています。

富松篤《牡鹿に棲まうもの》。流木を組み合わせて制作された鹿。今にも動き出しそうなくらいリアルな造形です。

体育館内にはパルコキノシタ《海の帰還》。

小学校の卒業作品と一体化していて非常に美しい作品です。

水溜りだらけになった校庭には、金氏徹平《ボイルド空想(マテリアルのユーレイ/石巻)》。震災の瓦礫が組み合わさったかのような独特の造形。

プールサイドの小屋にて展示されているのは、パルコキノシタ《います》。

東日本大震災により石巻市で亡くなった3,978人の木像を彫る作品。制作は会期内も進行中で、木彫り像は日々増殖しています。

荻浜小学校には、「目」の《repetition window》が駐車中でした。

荻浜小の近くには、ファブリス・イベール《エキリブリウム(バランスを保つ場所)》の作品もあります。

中央の噴水には11の穴が空いており、11個のプロトタイプの彫刻に向かって散水されています。噴水を中心として放射状に広がる彫刻と畑の調和が面白い作品です。

牡鹿ビレッジエリア

続いては牡鹿ビレッジエリアへ。こちらには比較的大型の駐車場があります。

この芸術祭のメインビジュアルにもなっている名和晃平《White Deer(Oshika)》はこのエリアにあります。駐車場から徒歩15分程度。土で出来た道であり、雨の日はかなりぬかるんでいます。

道の途中には、鈴木康広のボート《ファスナーの船》が浮かんでいました。船が動くと出来る白波によってチャックを開けたような見た目になる作品です。

森の中の道からはピアノの音が。ブルース・ナウマン《初心者のために(教えられるピアノ)》。ピアノ練習曲「ミクロコスモス」を10個の鍵盤のみで演奏するという作品です。

ぬかるんだ道をひたすら歩くと、ついに名和晃平の6メートルの巨大な鹿《White Deer(Oshika)》が見えました。意外と大きい!

フォトジェニックな作品が少ない本芸術祭の中では、抜群のフォトスポット。人々が記念写真で群がっておりました。

さわひらきの映像作品《燈話》。この穴は第二次世界大戦末期に掘られた壕なのだそうです。

宮永愛子の作品《海は森から生まれる》は、さわひらきのすぐ隣の壕にあります。半透明のブイが暗闇でうっすらと光っています。

このエリアにはReborn-Art DININGというカフェが設置されています。お昼時ということでこの行列。お腹は空いていなかったので次に向かいます。

鮎川エリア

牡鹿半島を南下し、半島の先端である御番所公園へ。急坂を登っていくと、雲の中に入ってしまったのか周囲はガスに包まれてしまいました。

草間彌生《真夜中に咲く花》。御番所公園は太平洋が一望できる見晴らしの良い場所なのですが、ご覧の景色。いくらポップな色使いとはいえ、なかなかシュールな景色です。

それでもご覧の人だかり。草間作品の人気の高さが伺えます。

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2017.04.08

続いては地蔵山開悟峯寺へ。

岩井優《ダンパリウム》。木材で制作されたドーム状の骨組みに牡鹿半島で不法投棄されたものや駆除された鹿が収められています。

当日は駆除された鹿がまさに解体中でした。かなり生々しい。。。

続いては、のり浜へ。のり浜に辿り着くためには駐車場から林道を進み徒歩10分くらい。浜辺間際の木道が滑りやすいので注意。

島袋道浩《起こす》。波打ち際に打ち捨てられた流木をひたすらに起こした作品。横たわったものを「起こす」。それだけなのに力強い。

流木を起こす作業は来場者でも参加可能ですので、横たわった流木を起こしてみてください。自分の中の気持ちも起き上がるかもしれません。

のり浜から徒歩にてコバルト荘跡地に向かうと、仮設テントが建っていました。中にはLEDのデジタル数字を使用した作品、宮島達男の《時の海-東北》。暗がりで、水に沈んだ青い数字が静かに光っています。

コバルト荘跡地から徒歩でホテルニューさか井へ。歩いて5分くらい。

ファブリス・イベールの《ベシーヌの人》。ホテルのグラウンドゴルフ場の隅に設置されています。

ベシーヌの人は地球上に100以上のクローンが存在し、11の穴から水を撒くことで周囲に溶け込んできたそうです。今回の場所にも上手く溶け込んで・・・いや、全く溶け込んでないな。

振り向くとホテル屋上から聴こえてくる爆音のミスチル。微妙な音程から察するに誰かがカラオケをしているらしい。実はこれも作品でyottaの《青空カラオケ》。

ホテル内エレベーターに設置された貼り紙。残念ながら今回は大雨により屋上には行けず。屋上から見える金華山に向かって絶叫したかった!

駅前エリア

さて、牡鹿半島エリアも一通り巡ったということで、急ぎ石巻市街地エリアに向かいます。

まずは旧観慶丸商店。

ナムジュン・パイク《心TV》。コロコロと移り変わる人の心をテーマとした映像作品。

旧柏屋には、八木隆行《B3 project 石巻》の展示。ロボっぽいデザインのバスタブを背負って各地を歩き、屋外で素っ裸で入浴するという、超突き抜けた作品です。

旧柏屋には異なる入口から入る会場があり、Zakkubalanの作品が展示されています。ここは被災後はボランティア団体の寝床となっていた建物で、現在はお化け屋敷のような雰囲気。

映像作品は石巻の風景がとても印象的に切り取られています。

電機屋の使われていない空間を改修した、ガルバナイズ・ギャラリー。有馬かおる+犬山キマワリ荘として複数の作家さんの作品が展示されています。

日活パール劇場ではハスラー・アキラとカオス*ラウンジの展示です。元々成人映画館だった場所ということで18禁。入り口にはハスラー・アキラのオブジェ《たえまない怒り》。

カオス*ラウンジは奥の入口シネマ1にて展示されています。

カオス*ラウンジ《地球を止めてくれ、ぼくはゆっくり映画を見たい》。成人映画のポスターがコラージュされた作品。

作品はもちろんですが、成人向け映画館のレトロでいかがわしい雰囲気がなんとも印象的。「大人のオワシス」という文字が気になります。オワシス?オアシス?

高橋園茶舗にあるキュンチョメの展示も新鮮でした。キュンチョメ《空で消していく 石巻2017》。パノラマ撮影に合わせて人が板を持って動いていく映像。

キュンチョメ《空蝉Crush!》。様々な夢や希望を持った人が「〇〇になりたい!!」と言ったあとに、蝉の抜け殻を手でグシャっと潰す作品。ユーモラスなようでショッキングな映像です。

旧旅行代理店では、齋藤陽道の写真展示。命をテーマにした写真はどれも美しく、幻想的な風景を切り取っています。

リボーンアートフェスの感想

この芸術祭の最大の特徴は何と言っても被災地で開催されているということです。

広大なエリアを車で移動していると、6年前幾度となく報道されてきたガレキは綺麗になくなり、真新しい建物が数多く完成している状況が目に飛び込んできます。

今や平穏を取り戻しているかのようにみえる石巻ですが、いざ展示の建物に入ってみると津波の痕跡は確かにしっかりとそこに存在しており、東日本大震災で最も死者数の多かった自治体という深刻な事実が蘇ってくるようです。

この芸術祭を通して、お誂え向けに整えられていない「石巻の軌跡」を窺い知ることが出来ただけでも大変意義深い時間だったと思います。

とはいえ、作品のテーマは震災にとらわれず、石巻や牡鹿半島が長年培ってきた文化や風景を丁寧に紐解いて作家自身のテーマとコラボレーションしたアート作品も数多く存在しました。

是非、豊かな自然や漁師たちの営みが作り上げてきた美しい浜の風景と、アーティストの化学反応を楽しんでいただきたいと思います。

最後に!!

以上、足早ですがリボーンアートフェスの様子と感想をメモしました。

設置会場と各作品のテーマ設定のバランスが非常に良く、復興ツーリズムとしても、地域資源の掘り起こしとしても、バランスの良い芸術祭だと感じます。

会期は9月10日(日)まで。雨が続いている宮城県ですが、天候に恵まれた日は是非、石巻・牡鹿半島までドライブしてみてはいかがでしょうか!

名称:Reborn-Art Festival 2017(リボーンアート・フェスティバル 2017)
日程:2017年7月22日(土)~9月10日(日)
期間:51日間
会場:宮城県石巻市(牡鹿半島、市内中心部)
料金:一般2日券¥3,000(税込)、3日券¥4,000(税込)、地元割引1日券¥1,000(税込)
公式サイト:http://www.reborn-art-fes.jp/

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鷹h氏 (@noaru_takahshi) の戯言

鷹h氏
地元の人々の参加も多く、おじいちゃんおばあちゃんが「芸術って難しいなあ」と笑いながらアート作品をあれこれ楽しんでいたのが印象的でした。

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