やあやあ、能ある鷹h氏(@noaru_takahshi)だよ。
もうそろそろ会期が終わってしまいますが、久々に東京に行ったついでにBunkamuraザ・ミュージアムで開催されている「マリメッコ展 デザイン、ファブリック、ライフスタイル」に行ってきました。
日本でも大人気ブランドであるマリメッコ。女性はもちろん、男性でもご存知の方が多いのではないでしょうか。
日本ではインテリアとか小物に使われるファブリックという印象も強いですが、ELLEの表紙を飾り、ジャクリーン・ケネディ元大統領夫人が着用するなどドレスのデザインで世界的に頭角を現したブランドです。
そんなマリメッコの展覧会が東京に来るんだったら見に行かないわけにはいかない!
今回はマリメッコ展にて気になったデザインと感想を簡単にメモしておこうと思います。
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マリメッコ展の概要
概要は以下、公式HPより抜粋。
フィンランドを代表するデザインハウス、マリメッコは1951年、アルミ・ラティアによってヘルシンキで創業されました。 テキスタイルデザインを学んだのち、広告代理店で経験を積んだラティアの元へ才能あるデザイナー達が集い、優れたデザインと巧みなPR戦略によって、60年代には世界的なブランドへと成長していきます。マリメッコが生み出す布地の柄は、多くがフィンランドの伝統的なモチーフや自然に着想を得つつ、大胆でカラフル、抽象的なデザインでした。そうした柄の映えるシンプルなカッティングの服は、高い人気を呼びます。その後製品は家庭用品やインテリアにまで展開され、マリメッコは今日、日本を含む世界中で絶大な人気を誇っています。 本展は、ヘルシンキのデザイン・ミュージアムの所蔵作品から、ファブリック約50点、貴重なヴィンテージドレス約60点、デザイナー自筆のスケッチ、各時代の資料などを通して、マリメッコの60年にわたる歴史をたどり、個性あふれるデザイナーの仕事ぶりと活躍を紹介する、国内初の大規模な展覧会です。
裁断前の巨大なファブリックを眺めながら、ドレスや食器の実物を見ることが出来る貴重な機会となっております。
マリメッコ展の内容
展覧会は以下の流れで進んでいきます。
Ⅱ:マリメッコの歩み 1951-2016
Ⅱ-1:創業者、アルミ・ラティア
Ⅱ-2:ヴオッコ・ヌルメスニエミ-マリメッコ初の正社員デザイナー
Ⅱ-3:マイヤ・イソラのコレクション
Ⅱ-4:アンニカ・リマラと洋服
Ⅱ-5:リーサ・スヴァント
Ⅱ-6:国際的な評価
Ⅱ-7:マリ・ヴィレッジ
Ⅱ-8:ライフスタイル
Ⅱ-9:新しいデザイナーたち
Ⅱ-10:アルミ・ラティアの遺産
Ⅱ-11:1991年、キルスティ・パーッカネンとの新たな門出
Ⅱ-12:原点への回帰
Ⅱ-13:マリメッコの今
Ⅲ:デザインの芸術
Ⅲ-1:ストライプと四角形
Ⅲ-2:色と遊ぶ
Ⅲ-3:≪ルオント≫≪オルナメンッティ≫≪ヨーナス≫シリーズ
Ⅲ-4:アンニカ・リマラのデザイン-コインの表と裏
Ⅲ-5:ひとつのモチーフのヴァリエーション-≪タルハ≫≪ヨケリ≫≪ケイダス≫
Ⅲ-6:≪ライネ≫≪イソ ライネ≫≪リンッシ≫
Ⅲ-7:マイヤ・リソラ、絵画とファブリック
Ⅲ-8:脇阪克二、絵画とファブリック
Ⅲ-9:ペンッティ・リンタ、ファブリックと服
Ⅲ-10:石本藤雄、スケッチとコレクション
Ⅲ-11:図案から商品へ
1951年の創業から、今やコップや傘にまでなっているマリメッコの成長が時系列に把握できると同時に、マリメッコ特有のデザインについて実作を前にして詳しく解説してもらえる展示内容です。
驚くべきはその展示数の多さ。マリメッコを代表するファブリックやヴィンテージドレス、昔の広告、デザインの原画などを数多く見ることができます。「スウェーデン・デザイン」の骨格が見えてくるような展覧会です。
特に興味深かったのはデザイナーが柄の構想を練る際に描いた自筆のスケッチ。デザイナーのイメージと完成品を比較することで、どう製品化されていくのかの流れを把握することが出来ました。
館内は写真撮影NG。平日に立ち寄りましたが、会場内はそれなりに混んでおりました。95%は女性(マダム多し)。
「あら、この色はカワイイわね」「こんな服が似合う女性になりたいわ」みたいな女子トーク(?)に会場がつつまれておりました。
気になった作品たち
以下、展示されている中で気になったデザイナーとマリメッコ製品をご紹介します。
中には今でも購入可能な生地も多くあり、物欲が掻き立てられます。。
(※デザイナー写真は公式サイトより引用しています。)
アルミ・ラティア

マリメッコの創業者であるアルミ・ラティア。
暗い色の服が多かったスウェーデンにおいて、これまでになかった色鮮やかで大胆な柄の生地を作り出したアルミの影響は非常に大きく、マリメッコの成功は彼女の実践してきた哲学の上に成り立っています。
今でも生産が続く「Tiiliskivi」はハンドドローイングの暖かさと短冊状のグリッドが魅力的なファブリックです。
![]() marimekko マリメッコ テーブルクロス TIILISKIVI(10cm単位の販売) 撥水加工(はっすい) ビニールコーティング まりめっこ |
ヴオッコ・ヌルメスニエミ

マリメッコ初の正社員デザイナーとして雇われたヴオッコ・ヌルメスニエミは、服のデザインにおいても柄・色のデザインにおいても、マリメッコに膨大な影響を与えてきました。
ヴオッコの生地の多くは大柄なものが多く、建築的ではっきりしたラインに代表される彼女の服は、当時の着こなしの概念を打ち破るものでした。
「Hennika」に代表される、プリントを重ねていくことで生まれる色の組み合わせを利用して深い色の広がりを表現する方法を発明したのもヌルメスニエミだったのだとか。今もデザイナーに使われている斬新な手法なのでした。
![]() マリメッコ バッグ MARIMEKKO 043443 022 SMARTBAG PICCOLO スマートバッグ 折りたたみ トートバッグ BLACK/WHITE |
マイヤ・イソラ

マリメッコのデザインといえばマイヤ・イソラというくらい代表的なデザイナーです。
チケットを購入し、会場に入ると、まず彼女の代表作である「UNIKKO」の大きなテキスタイルが目に飛び込んできます。
そして展覧会の出口にも「UNIKKO」。マリメッコといえば「UNIKKO」というくらい爆発的な知名度を持っているデザインだけあって、展覧会においても大事にされているなあと感じました。
「UNIKKO」が、巷にあふれる花柄と明らかに異なるところは、モチーフの圧倒的な大きさでしょう。
乱暴なまでの大きさと、動きあるカラフルなケシの花たちの図柄は、布をはみ出してどこまででも続いて行ってしまいそうな、特別なエネルギーを感じ取ることが出来ます。
カラーバリエーションも多く、「欲しい!」と思わせてしまう素晴らしいデザインです。
![]() マリメッコ エプロン marimekko 064161 001 PIENI UNIKKO ホワイト/レッド |
アンニカ・リマラ

アンニカは50年代後半からマリメッコで活躍したテキスタイルデザイナーです。
マイヤイソラの系列と言うよりも、どちらかと言えば、ヴォッコ系列のデザイン。時代を感じさせない普遍さ、すっきりしたデザインでありながらユーモアを感じます。
人気作「TASARAITA」のようにストライプ柄のニットやスムースなど、ストイックでシンプルなものが得意なデザイナーだったようです。
ストライプパターンはアメリカの炭坑で働く人々の服装がインスピレーションとなっており、これらの服を飽きが来ないものとしたいという意図があります。
![]() marimekko TASARAITA/TIIA ワンピース(M)/ホワイト×ブラック 99(068)【41568】マリメッコ タサライタ ボーダー柄 |
脇阪克二
マリメッコには二人の日本人デザイナーが所属していました。
その一人である脇阪克二さんは1968~76年と2001年に在籍しました。遊び心があって、力強さとやさしさが色彩からあふれているのが特徴です。
脇坂さんのデザインはカラフルでかわいいおもちゃの車が並ぶ「Bo Boo」というデザインが有名です。
![]() 正規輸入品 マリメッコ 生地 PIKKU BO BOO ピックブーブー おためし マリメッコ 生地 |
マリメッコの明るさと日本人ならではの細やかさや可愛らしさが融合したかのような図案のユニークさは、やはりマリメッコという土壌からしか生まれ得なかったに違いないと感じました。
石本藤雄

石本藤雄さんは、1970年から2006年まで在籍したマリメッコのデザイナーです。多くのスタイルや技術を使いこなし、マリメッコで手がけた柄も400ほど。
インタビュー映像が展示されていましたが、石本さんは何度もマリメッコにデザインをプレゼンして、正式なデザイナーとなったのだそうです。
石本さんの代表作「MAISEMA」は、デッサンのような手描きのラインに、繊細に変化する色調が特徴的です。通常4色程度のカラーで構成されるマリメッコのデザインですが、多色でのびやかな世界観を追求したシリーズになっています。
![]() ファブリックパネル アリス marimekko Maisema 140×43cm マリメッコ マイセマ シンプルインテリア |
石本さんはマリメッコで何十年も活躍した後、今はフィンランド陶器メーカーのARABIAで陶芸作品を発表されているのだそうです。
展覧会の感想
大勢のマダム達に囲まれながら見るマリメッコ展は、ブランドの勢いと人気ぶりを肌で感じることができる素晴らしい展覧会でした。
マリメッコの柄はどれも日本の一般水準からいうとかなり大ぶりです。柄の大きさは大胆さと同義であり、そうした柄のドレスは、堂々とした印象を与えます。
大きなファブリックが吊るされていた会場内もポップな空気が充満して、ワクワクする雰囲気でした。
こうした大胆な柄は、カーテンだったり、クッションだったり、インテリアにはぴったりだなあと改めて感じました。
魅力的なテキスタイルデザインは、汎用性の高く、好みに合わせてファブリックやドレス、雑貨などを様々なアイテムに変化します。それがライフスタイルデザインとして愛される理由のひとつなのでしょう。
また、マリメッコのデザイナーといえばマイヤ・イソラの名前しか知りませんでしたが、決してひとりの有名デザイナーのみで生きながらえてきたブランドではないということを実感しました。
しかし、そうした多様なデザイナーにあっても、どの作品にも「マリメッコらしさ」を感じ取ることが出来ます。
それは決して各デザイナーが過去の作品を真似しているということではなく、デザイナーのあふれ出る個性と、脈々と受け継がれてきたマリメッコ不変の伝統とが融合したところに「マリメッコらしさ」が生じていると言い換えることが出来るかもしれません。
自分らしく生きること、自分の人生を生きること。それは誰かを演じたり、良く見せようと自分を偽ることではありません。美しい日常の鍵は…マリメッコが求め続け見つけてきたのはこれです。包み隠すことのない人生の醍醐味を、その喜びや豊かさを日々の中に見つけたいと考えています。時どき問いかけるのです、本当に美味しいと思っている?雑味が混ざってはいないかしらと。ファッションの流行を追ったり媚びたりするのは避けてしかるべき。目を向けるべきはただひとつ。自分を信じ自分の中の灯台のあかりに導かれていくことです。
今回の展示をみて、「フィンランド・デザイン」の礎を築きあげたマリメッコの哲学に感動するとともに、1951年の創業以来ブレずに独自の道を歩み続けたマリメッコをより一層応援したくなりました。
マリメッコのデザイン原画やヴィンテージドレスはフィンランド本国へ行かないと、見る機会もないと思いますので、マリメッコ好き、ひいては北欧好きの方はご覧になって損はないかと!!
東京の会期はもうすぐ終了ですが、新潟の万代島への巡回が決まっており、今後も巡回する予定だそうなので、是非とも公式サイトをチェックしてみてはいかがでしょうか。
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
住所:〒150-8507 東京都渋谷区道玄坂2-24-1
電話 :03-3477-9111(Bunkamura代表番号)
開館時間:午前10時~午後7時00分(入場は午後6時30分まで)
毎週金・土曜日は午後9時まで(入館は午後8時30分まで)
観覧料:当日 1,400円(大人)
公式サイト:http://marimekko-exhibition.jp/