【感想】『マルセル・ブロイヤーの家具: Improvement for good@MOMAT』時代の要請と新しい表現への追求。

やあやあ、能ある鷹h氏(@noaru_takahshi)だよ。

竹橋の国立近代美術館にて2017年3月3日から5月7日まで開催中の『マルセル・ブロイヤーの家具: Improvement for good』に行ってきました。

マルセル・ブロイヤー(1902-1981)は、戦後モダニズムを代表する建築家、家具デザイナーです。

パリのユネスコ本部やニューヨークの旧ホイットニー美術館(現メトロポリタン美術館分館)など、住宅から公共施設まで多くの建築物を設計しています。モジュール構造と単一形態の重要性を提示したモダニズムの重要人物のひとりです。

本展覧会はそのブロイヤーが手掛けた家具デザインを紹介するものです。シンプルで合理的な構造でありながら、複雑で多様な魅力を生み出すブロイヤーの家具。

今回は、そんなブロイヤーの家具展の感想を簡単にメモしたいと思います。



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展覧会の様子をレポート!

ブロイヤーの家具展は国立近代美術館(MOMAT)の常設展示スペース内に設けられています。

なので入場料は常設展の430円。お安い!しかも、MOMATの常設展は近代の西洋画、日本画から今を時めく現代アートまで超贅沢な収蔵品をじっくりと鑑賞できます。

エレベーターで4Fまで上がり、常設展を観覧して、2Fに降りてくるとエレベーター付近に「マルセル・ブロイヤーの家具」のコーナーがあります。

展示室内の撮影は不可。ただし、入り口ではワシリーチェアに座って写真を撮ることが出来ます。

コンパクトなスペースながら、密度高く展示されているので、見ごたえたっぷりの内容です。

バウハウス・デッサウ財団、ヴィトラ・デザイン・ミュージアムの所蔵品をはじめ、ブロイヤーの名作家具約40点で構成され、ほぼ時系列に沿って実物が展示されています。

ブロイヤーの家具といえばイメージされるのはスティールパイプを使った椅子ですが、ヴァイマール時代のバウハウスに在籍した学生時代には、初代校長ヴァルター・グロピウスの指導の元、木製の家具を製作しています。どの木製家具もシンプルでモダン。このころからすでにバウハウスの作風を感じます。

続いて展示されるのはバウハウス・デッサウ時代のスティールパイプの椅子やネストテーブル、そしてブロイヤーの代表作とも言える初めて曲げた金属パイプを使用したクラブチェアB3(ワシリーチェア)です。

1925年、23歳のときに考案したこの椅子をブロイヤーは自転車のハンドルから着想したといわれています。

スティールパイプを用いた家具はその当時から既に存在していましたが、ブロイヤーの椅子の特徴はその圧倒的な軽やかさ

継ぎ目がないようにみえるパイプで構造をつくり、座面と背もたれは一枚ものの布(革のバージョンもあり)によって構成されています。

なんといってもかっこいいのは背もたれと手すり部分の布が交差している部分です。

背もたれには全面に布を張りたくなるところですがあえて手すり部分の取り合いを優先することで、軽やかで“空中に浮いたような”緊張感のある構成を保っています。

鉄の剛性と布のテンションによって成立するシンプルさは従来の木製椅子とはまったく異なるデザインアプローチと言えます。

このワシリーチェアは、制作された時代が異なる4台が展示されています。それぞれの時代でで、鋼管の接合部が溶接かビス留めか、あるいはビス留めの位置や数などの微妙な差異が存在し、量産に向けて行われたデザインの調整と合理性追求のプロセスが垣間見えてとても面白いです。

その後は、1928年にバウハウスを去った後、スイス在住時代制作したアルミニウム製の椅子、

イギリス在住時代に制作したプライウッドの椅子などが展示されています。常に新しい素材に対峙してその可能性を追求していくブロイヤーの情熱を感じます。

最後に、1937年にアメリカに渡り建築へと仕事の比重を移す中で手がけた家具と住宅建築のパネルと、日本の建築家・芦原義信との関わりが紹介されています。

展覧会の感想

ブロイヤーの思想は、バウハウスの初代校長であるグロピウスの影響をかなり受けています。たとえば、部材の規格化、共通化によるコストダウン、家具と建築を同等に扱う点などです。

彼の生きていた時代のまさにモダニズム全盛期。建築は合理性とシンプルさを目指して、装飾的な要素を次々と排除していた時代です。こうしたシンプルな空間に従来のような装飾的な木製家具はそぐわない。

そんな時代の切実な要請からもブロイヤーの制作したモダンな家具の数々の影響は計り知れず、またバウハウスの存在意義も非常に大きかったといえます。

バウハウスを離れてからもその思想は継続し、その後も徹底的に素材と向き合い、構造の合理性を追求し続けたブロイヤーの姿に感激しました。

最後に!!

コンパクトな展示ながら、提示物によって展示台の素材感や色が異なっていたり、フォントにこだわっていたり、パネルのデザインも非常にシンプルで分かりやすく、全体としてクオリティの高い展示内容でした。

展覧会目録もモダンな雰囲気が徹底されており、大変欲しくなりました。

MOMATの常設展の内容も春の装いとなっており見ごたえ十分でしたし、家具・建築が好きな方は是非、竹橋の国立近代美術館に足を運んでみてはいかがでしょうか。絶対楽しめるはずですよ!

【会場】東京国立近代美術館 2F ギャラリー4
【会期】2017年3月3日(金)~ 2017年5月7日(日)
【開館時間】10:00-17:00(金曜・土曜は10:00-20:00)、春まつり期間中(3/25~4/9)の金曜・土曜 10:00-21:00*入館は閉館30分前まで
【休館日】月曜(3/20、27、4/3、5/1は開館)、3/21(火)
【観覧料】一般430(220)円、大学生130(70)円
※3月5日(日)、4月2日(日)、5月7日(日)は無料
【公式サイト】http://www.momat.go.jp/am/exhibition/breuer_2017/

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鷹h氏 (@noaru_takahshi) の戯言

鷹h氏
2017年7月15日~9月24日には、山形県の東根市美術館(まなびあテラス)に巡回が決まっているそうです。

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