【感想】『草間彌生展「わが永遠の魂」@新美術館』燃え尽きない創作への強い意志に心震える。

やあやあ、能ある鷹h氏(@noaru_takahshi)だよ。

久々の展覧会の感想です。

乃木坂にある国立新美術館で2017年2月22日(水)から5月22日(月)まで開催されている草間彌生展に行ってきました。

日本でも大人気アーティストの大規模個展ということで、すでに多くの人が足を運ばれていることかと思いますが、せっかくなので、簡単に見どころと感想をメモしておきたいと思います。



- sponsored link -


草間彌生って何者?

世界を舞台に活躍する前衛芸術家、草間彌生。

きっとあなたもどこかで草間さんの作品を目にしたことがあるはずです。

草間さんは1950年代後半に単身ニューヨークに渡って以降、絵画、彫刻、インスタレーション、映像、
さらには小説や詩に至るまで、広範な領域で芸術活動を展開してきました。

1960年代には「前衛の女王」と呼ばれるほどアバンギャルドな作品を世に送り出してきた彼女。

特に代表作である「無限の網」や水玉模様の「南瓜」は世界でも評価の高いアート作品です。

草間氏は今も自殺願望があり、アトリエで仕事して夜は病院で過ごす生活を40年以上も続けているといいます。自分の心の闇と向き合いながら、88歳になった今もエネルギッシュに作品制作を続けられています。

展覧会の概要

以下、公式HPより引用です。

草間彌生が2009年から意欲的に取り組んでいる大型の絵画シリーズ「わが永遠の魂」から厳選した約130点を一挙に公開。全作品が日本初公開となります。

国内での活動を経て、1957年に渡米、15年間にわたりニューヨークで活躍。高い評価を得て、活動の場を東京へ移した後も、世界を舞台に活躍し続ける前衛芸術家、草間彌生。代名詞ともいえる水玉をモティーフとした作品やネット・ペインティング、ソフト・スカルプチュア、無限の鏡の間など、多岐にわたる草間芸術の全貌を、初期から最新作まで、たっぷりと紹介します。

「世界で最も影響力のある100人」(2016年、米『タイム』誌)に日本人で唯一選出、「世界で最も人気のあるアーティスト」(2014年、英『アート・ニュースペーパー』紙)に選出されるなど、世界有数の実力と知名度を誇る草間彌生。テート・モダン(ロンドン)やポンピドゥ・センター(パリ)など世界に名だたる美術館での個展を成功させ、中南米やアジア、北欧でも大規模な個展を行うなど、多くの人々を魅了し続けています。国内で過去最大級の個展が、ついに東京で実現します。

簡単に言えば、世界で輝く草間彌生のデビュー当時の作品から未公開の新作までを一望できる贅沢な展覧会ということです。

ザックリですが男女比は2:8で、圧倒的に女性が多かったです。春休みの期間ということもあり、お子さんも多かったですね。あとは結構な割合で外国の方もいました。草間彌生さんは外国人にも人気があります。

展覧会の様子

では早速、展覧会の様子をご紹介します。

今回の展覧会は全5章の構成となっています。

  1. 21世紀の草間彌生(1)
  2. 初期作品
  3. ニューヨーク時代1957-73
  4. 21世紀の草間彌生(2)
  5. 帰国後の作品1970-2000

第1章の大空間の展示「わが永遠の魂」を中心として、過去の作品を時系列に沿って鑑賞し、またもとの第1章に戻ってくるという展示構成です。

以下、印象に残った作品を中心にご紹介します。

1.21世紀の草間彌生(1)

入口を入ると、大きなキャンバスを3枚つなげたド派手な富士山の絵画が飾られています。派手だ!

そして次の部屋に進むと、いきなりの大空間!壁面には正方形のキャンバスが数百枚、びっしりと並んでおり、床には巨大な水玉オブジェ。そして、人、人、人。。。うおおお、なんだこの密度は。。。

これが今回の新作絵画である「わが永遠の魂」シリーズ。壁面の絵画は、原色の絵の具で描かれており、ポップという他ない。でも以前の作品よりかなりプリミティブかも。

草間さんの代名詞でもある水玉モチーフや網目モチーフから、点線やハッチング、四角や丸といった幾何学模様、顔や目玉らしき形態、それらが自在に組み合わされて無限の遊び心が生み出されています。これにはとんでもないエネルギーを感じる!!

このシリーズには、2種類のサイズのキャンバスがあります。

大きなサイズは194cm四方、小さなサイズは162cm四方です。人間と同じくらいの高さのキャンバスに描かれる草間さん渾身の壁画です。

それぞれには題名もつけられていますが、ここはそれぞれの作品と対峙して世界観にどっぷり浸ってほしいところ。

この大空間には約130点が展示されています。

スマホ撮影可なので、ついつい写真を撮ることに没頭してしまいがちですが、この大空間に込められたエネルギーを吸収したいですね。

2.初期作品

十分新作を堪能したところで、次の部屋へ。第2章では1940-50年代の初期作品が展示されています。この部屋以降の写真撮影は不可です。

幻覚から逃れるために描いたという絵画。幼い頃のスケッチにもドットが使用されており、空白をモチーフで埋めていくスタイルは草間彌生そのものです。

しかしながらこの時点では具体的な対象を描く作品が多く、ポップさは感じられません。草間さんの抱える闇を具体化しようとする切実な様子が感じられます。

3.ニューヨーク時代 1957-73

第3章はニューヨーク時代(1957-1973)の作品が展示されます。

新たな活動領域を求めて渡米した草間彌生。ニューヨークでは網目模様を無限に繰り返していくネット・ペインティングと呼ばれる手法を用いた作品で注目を集めました。

白や赤の絵具で描かれた弧が網の目状に広がりカンヴァスを埋め尽くす作品は、今や草間さんの代名詞となっているポップカラーはなく、穏やかで静謐な雰囲気が印象的です。

その後は映像作品、無数の突起や水玉模様のついたポップなオブジェなどが展示され、60年代に表現が多様化していくのがわかります。

特に映像作品「Kusama’s Self-Obliteration 草間の自己消滅」が草間彌生の闇が表現されていて衝撃を受けました。人の体に水玉を描いたり、猫の体を葉っぱで埋め尽くしたり。草間彌生は人と見えている世界が全然違うんですね。ここまでが前半部分。

4.21世紀の草間彌生(2)

時系列に沿った鑑賞はここで一旦小休止。第4章では『南瓜(2016年)』や『水玉強迫(2017年)』など、再び草間彌生の近作が展示されます。

ここでは一般に広く知られているような草間彌生作品にたくさん会えます。

会場の外に展示されている『南瓜(2007年)』は、高さ4.5m、幅5mの巨大な作品。スマホ撮影可です。

近づいて見たい方は、乃木坂駅方面のチケット売り場の脇の通路を抜けて入ります。ここは無料でも入れますよ。

一番お客さんの歓声が上がっていたのは、鏡に映る光が際限なく広がっていく『生命の輝きに満ちて(2011年)』

無限に反復される光の連なりは色合いが絶えず変化し、しばらくすると光が消えて真っ暗になります。

混雑時は留まることが難しいですが、しばらく幻想的な眺めを見ていたい感覚になる素敵なインスタレーションです。

5.帰国後の作品 1970-2000

次の部屋に向かうと、再び暗い雰囲気の展示に。後半は、アメリカから帰国後の70年代のコラージュから始まります。

60年代に花開いたポップな色使いは消え、最初期の具象的な絵画にリセットされた感じです。

実は、1972年、パートナーであったアーティストのジョゼフ・コーネルが死去。体調を崩した草間は翌1973年にニューヨークから帰国し、活動の拠点を東京に移したのだそうです。

この時期の絵画は身に迫るような緊張感があります。作品を通して彼女の心情が発露されているかのようです。

その後は、60年代の作品に見受けられる男根状の突起や水玉など従来のモチーフを再解釈した作品が続き、よりポップで洗練されたパターンや企業とのタイアップなど草間作品の世界的な広がりを体感できます。

そして再び大空間の「わが永遠の魂」に戻ってきます。

ここまで振り返って改めて新作を見直してみると、「わが永遠の魂」シリーズは彼女の作品の集大成だということがよりリアルに感じられます。

最初に入った時、洗練された雰囲気というよりプリミティブな雰囲気を感じましたが、これは、これまで草間が描いてきた「パターン」「明/暗」「具象/抽象」といった手法をより自由に展開させたものなわけですね。

6.オブリタレーションルーム (2002年~)

そんな腑に落ちた気持ちで満足して会場を出ると、そこには参加型の展示が。

真っ白な部屋に来場者がカラフルなシールを貼り付けていくオブリタレーションルームは、2002年に草間さんが始めた参加型のインスタレーションです。

壁や家具が白で統一された部屋が、日が経つにつれて色で溢れ返ります。私が入った時にはすでに白いところはほぼありませんでした。むしろシールが貼られすぎて立体的になってきています。

ここは撮影可ですので、自撮りしている人もたくさんいましたよ。

展覧会の感想

今回の展覧会では時系列に沿って彼女の歴史を作品を通してみることが出来ました。

草間彌生は統合失調症を患っており、繰り返し襲う幻覚や幻聴から逃れるために絵を描き始めたといいます。

あらゆる隙間(闇)を埋め尽くす無数のパターン。 同じような突起を作り続けたり、同じような点を書き続けるなんて凡人では途中で不安になったり、くじけてしまいそうですが、その作業を88歳の今なお展開をし続ける草間氏には並大抵ではないエネルギーを感じます。

草間作品が用いる水玉や突起といったモチーフはぱっと見かわいいですが、彼女の人生と照らし合わせると、否応なしに切実なものに見えてきます。

そして「病的なまでにパターンを生産し続ける」という狂気は、草間の置かれている環境によって「秩序」が生みだされていることがわかります。

ニューヨークに拠点を置いた際には周囲のミニマルなアーティストの影響によってネット・ペインティングとして展開されたり、身近な人の死をきっかけに東京に戻った際は、コラージュという手法と組み合わせたり、再ブレイクをした際には水玉が洗練化して南瓜になったり触手になったり、ソファーとして商品化されるといった具合に。

最新作「わが永遠の魂」にはそんな草間さんの生み出した秩序を全て破壊するようなとてつもないエネルギーを感じました。

さぁ、闘いは無限だ

もっと独創的な作品をたくさんつくりたい

その事を考える眠れない夜

創作の思いは未知の神秘への憧れだった

私は前衛芸術家として宇宙の果てまでも闘いたい

倒れてしまうまで

これは、本展覧会を開催するにあたって、草間彌生さんが世界の人々に向けたメッセージの一節です。

今なお燃え尽きない創作への強い意志。その集大成がこの「わが永遠の魂」だと思うと、そのほとばしる生命力に心が震えました。

最後に!!

齢88歳にして現役バリバリの前衛芸術家に、勇気と刺激を貰えるって本当にすごい。

人気アーティストの展覧会ですので、当然会場は混んでいます。でも、毎日に刺激を求めている人には是非一度見てほしい展覧会です。

繰り返しになりますが、写真撮影の箇所は「撮影可」の記載があります。ポップでキャッチーな作品なので、撮れる場所では思う存分撮影しましょう。

ただし、それ以外の部分では撮影してはいけません。知ってか知らずか、撮影不可の場所でも撮影して学芸員に注意されている方が結構いらっしゃいました。自分だけ楽しめればよしと考えるのではなく、決められたルールはしっかり守って鑑賞したいものです。

【名称】草間彌生展「わが永遠の魂」
【会場】国立新美術館 企画展示室1E(〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2)
【会期】2017年2月22日(水)- 5月22日(月)
【休館日】毎週火曜日 ※5月2日(火)は開館
【開館時間】10:00 – 18:00
※金曜日は20:00まで(閉館の30分前まで入場可)
※4月29日(土)から5月7日(日)までは毎日20:00まで開館
【料金】一般1600円・大学生1200円・高校生800円
【公式サイト】http://kusama2017.jp/
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

◆◆芸術新潮 / 2017年4月号
価格:1439円(税込、送料別) (2017/4/8時点)


- sponsored link -


鷹h氏 (@noaru_takahshi) の戯言

鷹h氏
一般的に現代アートって社会制度や旧来の芸術的文脈との関係性の中で評価されるものですが、彼女の作品は、生き様を含めて圧倒的にオリジナルだと感じました。

オススメ記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です