【感想】写真撮影も可能!「建築倉庫ミュージアム」がとにかく斬新!

やあやあ、能ある鷹h氏(@noaru_takahshi)だよ。

2016年6月18日にオープンした国内初の建築模型の展示施設「建築倉庫ミュージアム」に行ってきました。

建築倉庫は、一般社団法人日本建築文化保存協会が提唱、寺田倉庫が運営する「建築模型を展示しながら最適な環境下で保存・保管する」という新しい発想のミュージアムです。

この建築倉庫、内容の充実ぶりはもちろんのこと、この枠組み自体が斬新であり、新たな建築の文化的発展に資する素晴らしい施設になりそうだと感じましたので、今回はこの建築倉庫について感想をメモしておこうと思います!



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建築模型とは何か

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建築模型とは、一般的に、現存の建築物や、これから立てる建築物を、紙や木などの素材で再現したミニチュアを指します。

近年は、3DCAD等のパソコン画面上で完成イメージを確認するケースの方が多いですが、建物のイメージをクライアントに伝えるためや、建築家が自ら設計する建物のイメージを膨らませるために、模型は今なお重要な建築設計ツールとして制作され続けています。

さらにものづくりにこだわりのある日本人は、家の中の家具や雑貨、植物、周辺環境もジオラマのように作り込むことも多く、芸術作品と言えるような建築模型が多く作成されています。

実物顔負けのリアルな建築模型は海外からの評価も高く、日本の建築模型をコレクションに加えようと買い付けが進んでいるという話もあるそうです。

しかしながら日本ではこうした模型がコレクションになるという概念がほとんどなく、通常は施主へのプレゼン等の模型の役目を終えてからは倉庫に眠ってしまったり、保管スペースの問題から廃棄されてしまったりする状況でした。

こうした優れた建築模型を保存、展示し、後世に残すのが、「建築倉庫」の狙いです。

「建築倉庫」の概要

IMG_5869場所は、りんかい線や東京モノレールの天王洲アイル駅からほど近い寺田倉庫本社ビルの1階にあります。

寺田倉庫は天王洲を中心に保存保管業を展開している1950年創業の会社で、ワイン、美術品、映像資料、機密文章保管など多岐にわたる保存保管技術を持っています。

こうした保管技術を持っている寺田倉庫が、模型を収納するスペースが足りないという建築家たちの要望に応えて、預けるだけでなく「展示しながら保存するミュージアム」というコンセプトのもと、「建築倉庫」が誕生しました。

同様のコンセプトの美術館としては、スイスのシャウラガー美術館Herzog & de Meuron設計、2003年竣工)が思い浮かびます。建築模型ではなくあらゆる美術品を扱っているので若干違いますが。

さらに近年では、日本の美術館でも普段は立ち入ることのできない収蔵庫や修復室を見て回ることが出来るバックヤードツアーが企画され人気を博しています。

こうした保存と展示を両立するような試みは、美術館の裏の部分が観れるというワクワク感がウケているのではないかと思います。

建築倉庫内の様子をレポート!

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そんな訳で早速倉庫内の様子をご紹介したいと思います。建物内部は写真撮影自由となっています。入場する前に大きい荷物は受付で預けることになります。当然ですが、展示されている模型に触れてはいけません。

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エントランス。高さ3.6mほどもある木製扉は自社デザインのインテリアで大型模型の搬出入も可能となっています。

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扉を開けると、著名な建築家たちの世界各国のプロジェクトの建築模型がところ狭しと並べられています。オープン間もないこともあり、倉庫内は盛況でした。

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陳列室は面積約450m2。天井高5.2m。約100の棚が並び、現在は約20組の設計事務所による建築模型やモックアップが展示されています。梱包箱も展示の一部として棚上部に保管されており、バックヤードらしいリアリティを味わうことができます。

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館内照明は各ラックに設えられたスポットライトのみ。白模型が多いので、光が強すぎて若干まぶしい部分もありました。

各ラックには出展者名とQRコードを記載したパネルが設置されており、模型作品の竣工写真や図面、実際の建物のドローン空撮動画、出展者のプロフィールなどの情報が日英バイリンガルで表示されます。

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ラックは1台あたり幅1500mm、奥行き750mm、高さ3800mmが基本サイズ。全体のキャパシティは500点ほどで、まだ余剰ラックが残っているようでした。

現在収蔵さている模型の一部をご紹介!

入口付近は「坂茂建築設計事務所」のラック。

IMG_5876女川町運動公園内に建つ<コンテナ多層仮設住宅>。通常の仮説住宅よりも高機能で居住性が高いことから震災時に注目された住宅です。

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「隈研吾建築都市設計事務所(通称クマジム)」のラックスペースは最も広い面積で、積極的にこの倉庫を活用しているようでした。

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家型が積層するシルエットが特徴的な〈浅草文化観光センター〉 。

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斜めに抜ける吹き抜けが面白い富山市の公共施設〈TOYAMAキラリ〉。

「山本理顕設計工場」のラックも名作住宅から大規模プロジェクトまでかなり広めのスペースです。

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1988年日本建築学会賞の<ロトンダ>。店舗・事務所付き住宅です。

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「風の翼」が象徴的な<大崎市立岩出山中学校> 。

学校建築に多く実績を持つ「CAt/シーラカンス アンド アソシエイツ」のラックは大型模型が多いです。

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2016年の日本建築学会賞作品の〈流山市立おおたかの森小・中学校、おおたかの森センター、こども図書館〉。学会での展示後ここに収蔵されています。

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釜石の復興プロジェクトの一つ〈釜石市立鵜住居地区学校等〉 。1:100の大型模型は大迫力です。

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気鋭の若手建築家であるo+h(大西麻貴+百田有希)。二重らせんの家(写真右)と千ヶ滝の別荘(写真左)。ポエティックな形ですが、丁寧に作られている模型に強いリアリティを感じます。

青木淳建築計画事務所のラックでは一風変わった展示が。

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ジオラマのような家や、アクリルで作られた美術館などコンセプチュアルな模型が展示されています。

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スタディ模型や、ファサードの検討模型など設計ツールとしての模型も展示されています。

出口付近には、スポットライト照明が一切ついていない場所が。

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こちらはギャラリーコーナーとなっており、企画展などのほか月一回程度セミナーを行う予定とのこと。

2014年ポーラミュージアムで開催されたワンダーウォールの個展で展示されていた模型が陳列されていました。

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〈UNIQLO New York Fifth Avenue〉。照明まで再現されている精度の高い1/50の模型が数多く展示されています。

「建築模型ミュージアム」の個人的感想

予想以上の充実度で圧倒されてしまったこのミュージアム。じっくり見るなら1〜2時間、ざっくり見るなら20分くらいで見ることが出来ると思います。

クライアントや住民に対するプレゼン用の模型から、展示会用の模型、スタディ用の模型など、プロジェクトの段階ごとに用途が異なる模型が一堂に会している状況は、建築家の思考の断片を覗いているようで、とても刺激的でした。

建築模型が並んでいる状況というと、建築学生の卒業設計展のような大規模模型が並ぶ展覧会が思い出されますが、そうしたお祭りのような熱気に対して、こちらは第一線で活躍されている建築家のプロジェクトが保管されているということで、素材・スケール・完成度などコンセプトを明快に表した各模型の精度は高く、プロの圧倒的レベルの高さを感じる展示内容でした。

建築学生の立場を考えると、こうした建築家の模型を間近に触れることができる場というのはありそうでなく、オープンデスク等で直接アトリエ事務所の門を叩くしかなかったと思います。並列してプロの作品を見ることができるこの場所は、模型制作にあたり自分の引き出しを増やすよいきっかけになると思います。

展示内容で気になる部分があったとすれば、現在は建築家ごとに模型が並べられていますが、もっとざっくばらんにプログラム毎だったり、スケール毎だったり、はたまたアイウエオ順等、別の水準で並び替えられるとまた違う発見があるような気がしました。

各建築家の倉庫というコンセプトでは区画割りになっていた方が合理的なのかもしれませんが、展示内容的にはもう少しランダムでも面白かったかなと思います、

また、照明についてはもう少し柔らかい光の方が映える作品もあるのかなという気もします。

最後に!!

「建築倉庫」は、建築学生、建築を生業にしている関係者の方々はもちろんのこと、一般人でも楽しめる内容になっております。特にドールハウスやジオラマ模型が好きな方々だったら120%楽しめるはず!模型でここまでつくりこむのかという建築家のこだわりが垣間見れると思いますよ。

建築に興味のある方もない方も是非一度足を運んでみては!!

このミュージアムは日本の建築模型が海外の展覧会を巡回する際の拠点とする壮大な構想もあるそうですので、日本の建築文化発展のために「建築倉庫」がより成長していくことを願うばかりです。

<基本データ>

【名称】建築倉庫ミュージアム(ARCHI-DEPOT)
【住所】東京都品川区東品川2-6-10寺田倉庫本社ビル1F
【開館日】火曜日~日曜日(月曜日休、ただし月曜日が祝日の場合は翌火曜日休)。
【開館時間】11:00-21:00(入館は閉館時間の1時間前まで)
【入館料】大人1,000円、学生500円(税込)
【公式サイト】archi-depot.com
【出展団体】青木淳建築計画事務所、阿部仁史アトリエ、北川原温建築都市研究所、隈研吾建築都市設計事務所、クライン ダイサム アーキテクツ、香山壽夫建築研究所、SANDWICH、シーラカンス アンド アソシエイツ、千葉学建築計画事務所、トラフ建築設計事務所、株式会社日建設計、坂茂建築設計、古市徹雄都市建築研究所、MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO + 芝浦工業大学建築学科原田真宏研究室、山本理顕設計工場、Wonderwall (R)ほか


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鷹h氏 (@noaru_takahshi) の戯言

鷹h氏
定期的に展示内容が変わるようなので、定期的にチェックしたいミュージアムですね!!

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