カワイイ家に住みたい!スモールハウスでも豊かな暮らしを実現する日本人建築家による小さな家の系譜。

やあやあ、能ある鷹h氏(@noaru_takahshi)だよ。

最近、巷では”小さな家”に住むことが見直され始めています。

小さな家は、スモールハウス、タイニーハウス、狭小住宅、小屋…などなど、色々な呼び方ありますが、一般的に最小限の空間と機能を備えた住宅のことを指します。広くて贅沢なイメージのある豪邸の対義語ですね。

まだまだ私にはお金がないので家を建てるという選択肢はもうちょっと後の話になりそうですが、ゆくゆくは初期コストも安い小さな家に住みたいなーという願望があります。

小さい家っていうと狭くて貧乏くさい!都心で家買うなら断然立派で立地もよい分譲マンション一択!みたいな方もいらっしゃるかもしれませんが、違うのです。

確かに日本の戸建て住宅は土地が小さいので比較的小さな家が多いのですが、空間的な工夫により、マンションよりも開放的で豊かな暮らしが送れるようになるのです。

今回は将来のマイホームを見据えて、狭小な日本の土地事情を巧みに好条件に変えている素晴らしいアイディアの住宅を集めてみることにします。



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小さな家を理解するためのポイント

まずは小さな家がなぜ魅力的なのかについて簡単に考えてみたいと思います。

1.ミニ開発の建売狭小住宅とは異なる空間構成

「ミニ開発」と呼ばれる小さな一戸建ての建売り住宅群。都心部の住宅密集地でよく見かけますよね。

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こんな奴です。

室内も小部屋で仕切ってあり、隣通しが50cmしか離れていないのではないかという状態。

これだったらマンションに住んだ方が良いのではないかという気がしてきますよね。経済効率一辺倒の建売り住宅は、広い家に要求される室をそのままスケールダウンして詰め込むので、当然無理が生じているのです。

一方、建築家の設計する小さな家は、設計のアプローチの仕方が異なります。

家にすべてを抱え込むのではなく、建て主や家族にとって何が大切かを聞き取ることでヒエラルキーを取捨選択し、そこから最もよい答えを導き出そうと設計をします。

日当たり、景観、周辺の住宅環境、公園や図書館などの公共施設との関係から、どういう建築の在り方が一番気持ち良い空間を生み出すのかを試行錯誤してくれるのです。ドラマティックな吹き抜けやコンパクトな寝室などメリハリの効いた空間構成が魅力です。

ちなみにこの記事では「狭小建売住宅」と区別するために、たとえ狭小地に建てられていなくとも、建築家が建てたコンパクトな家のことを「小さな家」と呼称したいと思います。

2.小さな家はコストが安い

手持ちの少ない資金で、どのようにして理想の家を実現させるか。建て主にとって最も悩ましい問題。

居住スペースが増えれば増えるほどコストは増えますから、小さい家はコスト安で済みます。経済的にとても合理的です。

延床面積25坪以下を小さな家と考えると、建築費は1000万から2000万円台だと思います。土地代を加味すると、周辺の平均的な分譲マンションを購入するのと、ほぼ同額くらいになるのではないでしょうか。

もちろん大きい家にはスケールメリットがあるので、小さな家は坪単価でみると100万円前後で決して安くはありません。

さらに、建築家に支払う設計料(建築費の10~20%)を加えると、ハウスメーカーの20~30%増しにはなります。

しかし、工務店とのコストの調整や工事監理も任せて、確実に素敵なオーダーメイドの家づくりができることを考えれば、むしろ安いともいえます。

3.シンプルな生活が送れる

床面積が少ない小さな家なので、当然掃除する範囲も狭いです。小さな家に住む最大のメリットは、「掃除の楽さ」かもしれません。掃除は毎日のことなので、負担が少ないに越したことはありません。

小さい家は、あまりモノを置けないので、自然と生活空間になにを置くか、取捨選択するようになります。モノや作業するためのスペースが自然と外部におかれるようになります。クルマをちょっとした部屋に使ったり、レンタル倉庫を使ったりするのも現代風で良いですね。

数10年経った時のメンテナンスコストが安いのも魅力です。

豊かな暮らしを実現する小さな家の系譜

日本にはたくさんの小さな住宅の名建築があります。その一端を古い順にメモしておきます。

ヒヤシンスハウス:立原道造(1937年)

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詩人立原道造は東京大学の建築学科出身で、1937年に自らのために5坪ほどの小さな週末住宅を建てようとしていました。

立原は、この住宅を《ヒヤシンスハウス・風信子荘》と呼び、五十通りもの試案を重ね、庭に掲げる旗のデザインまで依頼していましたが、立原が急逝したため、夢は実現しませんでした。

しかし、その後多くの市民たちや企業、行政の協調のもと、2004年に別所沼公園にヒヤシンスハウスが再現されることになりました。

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スケール感や部材寸法など随所に見受けられるこだわりは、こんな小屋建ててみたい!という心を掻き立てられるほどに魅力的です。

【木造平屋建/敷地面積:15.15㎡】

立原道造詩集 [ 立原道造 ]
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前川國男邸:前川國男(1942年)

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戦時統制下につくられた木造モダニズム建築の傑作と言われているのが、前川國男の自邸です。

物資の無い中で、限られた建築資材と建坪100㎡以下という制限の中で建てられました。

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吹き抜けの開放感と、風の抜ける大きな窓。モダンな内装とキッチン。

とにかく穏やかなリビングが最高の居心地です。こんな家に住みたい!!

東京たてもの園で見ることが出来るので、気になる人は実際に体験してみて下さい!

【木造2階建/延床面積:110.56㎡】

立体最小限住宅:池辺陽(1950年)

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東京大学の教授だった池辺陽は、1950年に「立体最小限住居」と言って工業化を目指した住宅を発表しました。

ハウスメーカー的思想の走りです。アルミサッシでさえ一般的でない時代に、類い稀なビジョンをお持ちだったのですね。

タイトルで”立体”と謳っているように、15坪の住宅には、吹き抜けを設けており、部屋を立体的に区切っています。

【木造2階建/延床面積:47㎡

戦後モダニズム建築の極北 池辺陽試論
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最小限住宅:増沢洵(1952年)

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増沢洵の「最小限住宅」は、戦後の小住宅を代表する作品のひとつとして評価されています。

5✕1間を構成の基本としており、吹き抜けを全面開口としその南面から障子を通した光を入れる構成により、9坪という狭い建坪でも明るくて豊かな空間を生み出しています。

また最近では、ブーフーウー株式会社より「9坪ハウス」なる最小限住宅の現代版リメイクが販売されており、現代でもこの住宅を建築することが可能です。

【木造2階建/延床面積:49.58㎡】

9坪ハウス [ 萩原百合 ]
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私の家:清家清(1954年)

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清家清の「私の家」は、公庫の借り入れ条件を念頭にして建てた自邸です。横幅10m、奥行き5mの家で清家夫妻は4人の子を育てました。室内はトイレにもドアがなく、ほぼワンルームの構成です。

居間、食堂、台所、寝室、便所などは、現代では当たり前のように各室に分けられていますが、これらがワンルームということは、一人になる空間が一切ないことを意味します。

一見穏やかな構成ながら、家族にプライバシーはいらないと考えられたかなり挑戦的な住宅です。

【RC造平屋建(地下1階)/延床面積:70㎡】

清家清
価格:21600円(税込、送料別)

塔の家:東孝光(1966年)

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狭小住宅といえば、多くの建築関係者が思い浮かべるのがこの住宅なのではないでしょうか。

それだけ建築界にインパクトを与えた都市型住宅の金字塔が「塔の家」です。

各フロアがリビング、水廻り、主寝室、寝室、倉庫と階段で全てが繋がった一体の空間で、わずか6坪に建っている建物とは思えない開放感があります。

【RC造5階建(地下1階)/延床面積:65㎡

都市・住宅論 [ 東孝光 ]
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住吉の長屋:安藤忠雄(1976年)

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現在では世界的建築家の安藤忠雄が、若き日に「日本建築学会賞」を獲得した出世作です。

当時斬新だったコンクリート打ちっ放しを用いた点、外を通らないと部屋を行き来出来ないほど、空間構成の純粋性を突き詰めたデザインと哲学で、当時の建築界にインパクトを与えました。

質実剛健という言葉がぴったりな緊張感がある住宅です。

【RC造2階建/延床面積:64.72㎡

住吉の長屋/安藤忠雄 [ 千葉学 ]
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三谷さんの家(Mitani hut):中村好文(1987年)

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大人気の住宅作家である中村好文初期の作品です。

タイトルどおり三谷さんの住居です。三谷さんは木工デザイナーです。

もともと物置小屋だったところを増改築した建物は8坪の最小住宅として設計されています。こじんまりとしていて可愛らしく、無駄のない温かみのある住宅です。

【木造平屋建/延床面積 27.12㎡

中村好文普通の住宅、普通の別荘 [ 中村好文 ]
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アニハウス:アトリエ・ワン(1998年)

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「アニハウス」は、一般的に敷地境界ギリギリにまで建てられる郊外型住宅の形式のアンチテーゼとして、境界から2〜3メートル引きを取った敷地中央に建物を小さく建てる建ち方が特徴の住宅です。

一辺6メートル四方のキューブが、周辺環境の与条件により、北側斜線を避けて半階分地下に沈められ、内部を二枚の床で断面方向に三等分されただけの立体的なワンルームとなっています。

日本のコンパクトな敷地に住宅を建てる建て方のプロトタイプとして、建築界に衝撃を与える作品となりました。

【S造3階建/延床面積:121.85㎡】

図解アトリエ・ワン [ アトリエ・ワン(1992) ]
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縁側の家:手塚貴晴+手塚由比(2003年)

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中庭をはさんで母屋と向き合う細長い家です。

「縁側の家」という名称のとおり、16mの大開口を開けると家全体が縁側となります。

シンプルなアイディアですが、外部の庭との関係性とのつながりがとても魅力的です。

【木造平屋建/延床面積:74.48㎡】

手塚貴晴+手塚由比建築カタログ [ 手塚貴晴 ]
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2004:中山英之(2006年)

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新しい宅地開発から一区画だけとり残されたようなクローバーの地面に対して、建物を少しだけ上に離して建てています。建物と土地が、ひとまとまりにも別々にも感じられる一角です。

中山英之さんの作る建築は、お施主さんだけが手にする事のできる宝箱のような自由が広がる解放区。とても小さな家のはずなのに、小さな箱の中に数えきれない程のアイデアが溢れかえっています。

【木造(一部S造)2階建/延床面積:100.57㎡】

スケッチング [ 中山英之 ]
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Small House:畝森泰行(2010年)

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都心の密集地に立つ極小の住宅です。

ギリギリまで小さい建物のヴォリュームの周囲に光や風を取り入れる大きな窓が設置されています

小さい家に住みながらも建物のスケールを超えて、光と風を感じながら生活できる素敵な住宅です。

【S造4階建(地下1階)/延床面積:67.34㎡】

新建築 住宅特集 2014年 04月号 [雑誌]
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新宿の小さな家:能作淳平(2011年)

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「新宿の小さな家」も上記のSmall Houseと同様に現代の最小限住宅です。

この家は15坪の敷地ながら、建ぺい率によって9坪の建築面積しかありません。しかも北西の角地。

東側は3階建ての新築の家が建ち、南側にも隣家が迫っています。さらに前面の道は近隣の生活道路で、常に通行人の視線に晒される。こんな最悪な条件下で、この家はあえて大きな吹き抜けと大きな窓を設けて「外に開く家」になっています。

将来的に生活スペースを確保するために、床をかけるための梁を架けられており、家族構成によって増床できる仕組みです。

【S造2階建/延床面積:56.51m2】

向陽ロッジアハウス:KONNO(2011年)

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「向陽ロッジアハウス」は建物と庭のつながりが素敵な住宅です。

住宅は北側に寄せられ、南面にはロッジアと呼ばれる屋根付半屋外空間が設けられています。

ロッジアは1階2階の各居室と様々な形状の窓でつながり、住民はこのロッジアを通して、庭の緑を感じる光と影や風、香り、鳥 の気配を感じることができます。

シンプルながら、随所に見られるこだわりの素材によって、内部と外部の関係がとても豊かなものになっています。

【木造2階建/延床面積100㎡】

新建築 住宅特集 2012年 10月号 [雑誌]
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六甲の住宅:島田 陽(2012年)

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六甲山に佇む小さな家です。

急傾斜地に建っており、1階部分は擁壁によって周囲から視認できないことから、全面ガラス張りの作業場とし、2階はプライベートな室が並ぶクローズドな構成にすることで、遠くの美しい風景を取り込みながら、居住性も確保している住宅になっています。

外との関係性と内部の居住性が見事にマッチした傑作です。

【S造2階建/延床面積:94.50㎡】

三尺格子の家:山路哲生(2015年)

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若い夫婦と小さな二人の子供のための住宅。

元々日本では「尺貫法」が用いられてきましたが、1951年より「メートル法」が本格施行されました。しかし、60年余りが経過したにも関わらず、未だに建設業界、特に木造住宅においては尺貫法が根強く用いられています。

山路氏は、この日本人に与えられた当たり前の寸法体系をデザインに活かすことで、合理性・経済性は元より表情としてのモデュール効果を見出せないかと考えました。

天井を構成する垂木は6mの120角柱材を流通企画のまま切らずに使用し、軒の出はその余寸法で決めたり、平面計画は3尺×3尺を一升とし、6×8升の総二階を部屋割りしたり、断面計画も、二階高さを4升とし構成を単純化したりと、とにかく尺貫法にこだわった設計を進めることで、日本人にとって快適な空間を生み出しています。

【木造2階建/延床面積:79.50㎡】

 

最後に!!

後半はあまりスモールハウスではない住宅もありましたが、あしからず。

段々と個人的に気になっている住宅を集めた感じになってしまいましたね。。

こうして振り返ってみると、日本特有の細分化された土地に対応してきたかれこれ60年以上の狭小住宅の系譜があるからこそ、現代でも快適に小さな家に住まうためのアイディアが建築界には詰まっているんだなと思いました。

戦後間もない頃に最小限住宅というコンセプトが提起され、その後現代において再びそのコンセプトが重視されてきたということは、きっと日本の経済状況による理由が大きいのでしょう。

このご時世、大きい家はもはや趣味の領域ということもできます。奮発して外車を購入するのと同じですね。

これからは「極力小さな家に住んでコンパクトな生活をしつつ、ライフステージに応じて家のサイズを変えていく」というのがスタンダードなのではないかと感じました。

そのライフスタイルにはご紹介した可変性を持つ小さな家はもちろん、賃貸住宅も相性がよいですね。

将来どうなるか分からない社会状況で、赤の他人との共有財産であるマンションを購入するのは一番考えにくい選択肢だと個人的には思います。

いずれにせよ、今後どこに住むかもわかりませんが、素敵なライフスタイルを模索していきたいものですね!


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鷹h氏 (@noaru_takahshi) の戯言

鷹h氏
気になる住宅があれば随時追加していこうと思います。

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4 件のコメント

  • ダサい!!変!狭すぎ!気持ち悪い。
    こういうクソが日本の外観を無茶苦茶にしてきたんだわ
    なーにが小さい家だと。
    おかげで日本がただのスラム街になってんじゃん。ふざけるな。
    景観意識ゼロ!!!これで一級(笑)建築士とか笑わせんなと。

    • ああ様
      コメントありがとうございます。
      小さい家は、建築家の問題というよりは、日本の土地所有制度によるものです。戦後から個人が土地を所有して木造住宅を作り、20数年後に老朽化により住宅が解体され、相続により土地が細分化されて土地所有者が増え、より小さな家が建つという、土地細分化の歴史があります。戦後から数えると大体第四世代くらいまで更新されているところもあります。
      都心部に建っているミニ開発なんかのコピーされた住宅が並ぶ姿は確かにあんまり素敵なものではないですね。
      日本の建築家は上記のような土地の制約の中でどのような快適な家が作れるのかを追求してきたという歴史があると思います。

  • 限られたスペースの中でいかに光を取り込み窮屈感なく暮らすか。建築士さん方のアイディアの素晴らしさに見とれてしまいます。
    私は家族がいつも一部屋に集まるので、大きな家はいらないですね。
    必要最低限でミニマムな無駄のない暮らしに憧れます!

    • >まきまき様
      コメントありがとうございます。
      小さい空間の中にたくさんのアイディアが詰め込まれているのが建築家の設計した家の魅力ですよね!!

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