被災地における建築の萌芽をみよ!震災復興の建築プロジェクト24選!

やあやあ、建築には目がない鷹h氏(@noaru_takahshi)だよ。

震災から5年経過したこともあり、当初は土木中心だった建設工事も、徐々に建築プロジェクトが立ち現れるようになってきました。

思い返せば、5年前、東日本大震災の甚大な被害を目の当たりにして、建築関係者は「建築に何が出来るか?」という大きな問いに直面することになりました。

以降、様々な試行錯誤のなかで、多くの建築家が地元関係者と共同した建築プロジェクトに参加しました。

これまでの実績をうまく活かして素晴らしい建築を作った場合もあれば、決して想定通りにプロジェクトが進まなかった例もあるはずです。

ただ私は、結果がどうであれ、建築家が被災地に真摯に向き合い、住まいや地域の再生のための思いを注ぎ込んだ結果としてできた建築は、これまで「ハコモノ」の揶揄されてきた奇抜な形をしたポエティックな建築とは大きく異なり、真っ当な社会性を持ったこれからの建築の原型ともなるべきものだと思っています。

今回、建設中や計画中のプロジェクトも含めて、建築家が被災地とどのような関わり方をしているのかについてまとめておこうと思います。

自治体が主導しているプロジェクトから、建築家主体のプロジェクトもあり、今回はそれぞれのプロジェクトの立ち位置が分かりやすいように分類してあります。

(今回の記事は、私の備忘録的な意味も含まれており、随時更新していきたいと思っております。)



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「みんなの家」プロジェクト

被災地における建築プロジェクトでかかせないのが「みんなの家」プロジェクトです。

東日本大震災被災地を受けて、建築家に何ができるのかを問うために、伊東豊雄、山本理顕、内藤廣、隈研吾、妹島和世の5名の建築家が「帰心の会」を結成。

10万人以上の人々が家を失い、無味乾燥な仮設住宅での厳しい暮らしが続く中、より人間的で居心地の良い場所を提供したいとの想いから、『みんなの家』プロジェクトを提唱。

『みんなの家』とは、①家を失った人々が集まって語り合い、心の安らぎを得ることのできる共同の小屋、②住む人と建てる人が一体となってつくる小屋、③利用する人々が復興を語り合う拠点となる場所である。

上記のような動きから、人のつながりを生み出す仕組みを作り、多くの関係者を巻き込み、結果としてたくさんの地域に居場所をつくっています。

仙台市宮城野区のみんなの家

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設計者は、伊東豊雄、桂英昭、末廣香織、曽我部昌史。

シンプルな外見に、縁側、小上がり、大きなテーブル、暖炉といった人が集まりやすい仕掛けが備え付けられています。従来の伊東豊雄のイメージを大きく裏切るような、住まいの原点に戻った「みんなが集まる我が家」のイメージが具現化されています。

【名称】仙台市宮城野区のみんなの家
【竣工】2011年10月
【住所】宮城県仙台市宮城野区福田町南1丁目7−1
※見学には予約が必要です。事前にHOME-FOR-ALLまでメールにてご相談ください。

釜石市平田のみんなの家

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設計者は、山本理顕設計工場。

タジン鍋っぽいかわいらしい屋根が印象的。屋根は光を透すテント生地で出来ていて、夜になると内部の照明により、全体が大きな灯となる。どこからでも入れる開放的な間取りの中に、大きなテーブルと囲炉裏が備え付けられ、昼は集会所、夜は居酒屋に姿をかえる(らしい)。

【名称】釜石市平田のみんなの家
【竣工】2012年5月
【住所】岩手県釜石市平田第5地割

釜石市商店街のみんなの家「かだって」

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伊東豊雄+伊東建築塾の共同設計。

被災商店街に位置していて、バスの待合所も兼ねている。夜になると室内の様子がよく見え、ふらっと立ち寄りやすい雰囲気。復興途上の市街地に賑わいを提供しています。

【名称】釜石市商店街のみんなの家
【竣工】2012年6月
【住所】岩手県釜石市只越町1-3-2

宮戸島のみんなの家

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設計者は、妹島和世+西沢立衛/SANAA。

宮戸小学校グラウンド応急仮設住宅団地に建つ。集会所とテラスを大きな銀色の屋根が包み込む構成。内外を一体的に使えるほか、既存の集会施設とも連続的な使用が可能となっています。シンプルながら、印象的な構成です。

【名称】宮古島のみんなの家
【竣工】2013年1月
【住所】宮城県東松島市宮戸二ツ橋1宮戸小学校グラウンド応急仮設住宅

宮戸島月浜のみんなの家

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東日本大震災で被災した浜の公民館跡地に建っています。うねる屋根がかかっており、ほとんどが外部。前面には海水浴場が広がっていて、波をイメージさせる爽やかさがあります。

【名称】宮古島月浜のみんなの家
【竣工】2014年7月
【住所】宮城県東松島市宮戸字村77

陸前高田市のみんなの家

設計者は、伊藤豊雄、乾久美子、藤本壮介、平田晃久。

平野を一望出来る場所に建つ非常にシンボリックな建築。象徴的な19本の丸太柱は、津波で立ち枯れた地元のスギ林を活用しています。

この「みんなの家」の設計過程は、震災翌年の2012年に開催された第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展に出展され、最高賞の金獅子賞を受賞したとのことです。

【名称】陸前高田市のみんなの家
【竣工】2012年11月
【住所】岩手県陸前高田市高田町大石31

 

ちなみに、この「陸前高田市のみんなの家」の近くには「りくカフェ/りくカフェ本設」があります。

りくカフェ/りくカフェ本設

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設計は成瀬・猪熊建築設計事務所。

写真手前が仮設のりくカフェ、奥の建物が本設のりくカフェです。2012年1月に仮設のカフェがオープンし、3年間の活動によって、市内外から人が訪れ、月に数回イベントを行ったり、生協の移動販売車が立ち寄ったりするような地域の拠点として成長しました。

その後、敷地が復興道路の計画地にあたること、 仮設建築物で使用期限があること、トイレやコンロがなく設備が不十分なことから、面積を倍にして本設の建築が建てられました。レストランとしての機能の他、イベント会場、介護拠点など、地域に必要な機能がこのりくカフェに集約されています。”地域コミュニティの存続”という切実な問題について真面目に向き合っている建築です。

【名称】りくカフェ/りくカフェ本設
【竣工】2012年1月/2014年9月
【住所】岩手県陸前高田市高田町字鳴石22−9
【開館】10時〜16時(月〜金曜日) 、10時〜12時30分(土曜日) ※日曜・祝祭日はお休み

東松島こどものみんなの家

設計者は、伊東豊雄建築設計事務所+大西麻貴。

小さな建物が集まった子どものための施設。天井が少し低く抑えられ、全体のスケール感が子供の目線で造られている様。夢に出てきそうなメルヘンチックな建築です。

【名称】東松島こどものみんなの家
【竣工】2013年1月
【住所】宮城県東松島市大塩字緑ヶ丘4-4-4 グリーンタウンやもと応急仮設住宅内ひまわり集会所隣

岩沼みんなの家

設計者は、伊東豊雄建築設計事務所。

農家みたいな外観です。田舎そばとかが食べられそうな感じ。

岩沼市は津波によって農地が塩害を受けてしまいましたが、農業とITの融合により未来の農業を創出するための拠点となることを目指しています。

【名称】岩沼みんなの家
【竣工】2013年7月
【住所】宮城県岩沼市押分字南谷地24-1

気仙沼大谷のみんなの家

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設計者は、Yang Zhao。

地域の漁業活動やコミュニティの中心だった大谷漁港に建つみんなの家。3つの部屋によって支えられる大屋根の下に設けられた空間は,イベント会場,魚を販売する市場としても使用されるそうです。荒々しさと繊細さを併せ持ったような不思議な建築です。

【名称】気仙沼大谷みんなの家
【竣工】2013年10月
【住所】宮城県気仙沼市本吉町大谷240−2

 

ちなみに「気仙沼大谷みんなの家」の近くには、気仙沼港すぐそばにある「K-port」があります。

K-port

k-port

復興の力になりたいと俳優の渡辺謙さんが設計を伊東豊雄事務所に依頼したカフェ。

この建築が特徴的なのは、4面の屋根に対して、建物が五角形で構成されているため、不思議な屋根形状になっていることです。また、天井には三角形のトップライトがついていて、明るく気持ち良さそうな空間が広がっています。

【名称】K-port
【竣工】2014年1月
【住所】宮城県気仙沼市港町1-3
【電話】0226-25-9915
【開店】10時~19時(日曜9時~17時)。無休。公式サイト

釜石漁師のみんなの家

設計は、伊東豊雄建築設計事務所+アトリエ・天工人+Ma設計事務所。

このみんなの家はちょっと特殊で、2010年のヴェネチ アビエンナーレに出展したバーレーン館を移設したものです。隣に新築の母屋が建っています。左がバーレーンの漁師小屋で右が新設された母屋です。端正な美しさがある建築です。

【名称】釜石漁師のみんなの家
【竣工】2013年10月
【住所】岩手県釜石市新浜町2丁目2

宮城県女川町のプロジェクト

女川町は復興のトップランナーと呼ばれることもあり、まちづくりや建築のデザインも多くの専門家が関わって進められています。

女川町コンテナ仮設住宅

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設計は坂茂建築設計。

敷地は、町が所有する総合運動場内にある野球場。二階建て(3棟)、三階建て(6棟)の計9棟189世帯の仮設住宅です。

コンテナ内は子供室、トイレ、バス等のプライベート空間で各コンテナ間はガラス等はめ、開放的なLDKとなっています。その快適そうな内部空間と言い外観と言い仮設住宅とは言い難いレベルのクオリティだと思います。

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坂茂氏本人も、

日本における災害後の仮設住宅の供給は、プレハブメーカーなどが中心となって短期で簡易的な住宅の大量生産を行うのが一般的で、建築家が参加する機会がほとんどありませんでした。このコンテナ仮設住宅をはじめ、他の地域でも建築家が仮設住宅建設に関わったことで、被災者の住環境により配慮した仮設住宅支援を行うことへの可能性を広げたと思います。

と語っています。このプロジェクトは通常の仮設住宅よりも断然断熱性能が高く、住民にも好評だったそうです。

【名称】 女川町コンテナ仮設住宅
【竣工】 2011年11月
【住所】 宮城県牡鹿郡女川町女川浜大原190

JR女川駅・女川町温泉温浴施設「ゆぽっぽ」

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女川町のシンボルとなる新しい駅舎です。こちらも設計は坂茂建築設計。

駅舎は3階建てで、1階に駅や売店、待合室、2階に舎町営温泉施設、3階に展望フロアが設けられています。

なんといっても鳥が翼を広げたような屋根が印象的。

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天井の架構などは坂さんがフランスでやっていたポンピドゥーセンター・メスにそっくりです。

そんな天井を湯船から見るのも素敵ですね!

【名称】 JR女川駅と女川町温泉温浴施設「ゆぽっぽ」
【竣工】 2015年3月
【住所】 宮城県牡鹿郡女川町女川浜字大原1-10
【電話】 TEL 0225 50 2683。
【開館】 9時~21時。第3水曜休。

女川町営運動公園住宅

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設計は竹中工務店。上記の坂茂の仮設住宅に隣接して、遠くに海を望む高台に建つ200戸の災害公営住宅です。運動公園のトラック内に建設されています。

敷地内に多数あるベンチや老化の一部が広くなっていたりと、コミュニティの醸成に工夫が凝らされた住宅です。

2014年グッドデザイン賞 ベスト100に選ばれています。

【名称】 女川町営運動公園住宅
【竣工】 2014年3月
【住所】 宮城県牡鹿郡女川町女川浜大原310

宮城県南三陸町のプロジェクト

南三陸町のグランドデザインは隈研吾氏が担当しており、今後どういったまちが作られるのかとても楽しみです。合わせて、素晴らしい建築プロジェクトが展開されています。

あさひ幼稚園

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設計は、手塚貴晴、由比夫妻です。

東日本大震災の津波で立ち枯れした巨大な杉並木を使って建設された幼稚園。日本ユニセフ協会が支援する幼稚園保育園再建プロジェクトのひとつで、すべての部材を津波を被って塩枯れした600×600mmのスギを使うという徹底したこだわりのある建築です。

【名称】 あさひ幼稚園
【竣工】 2012年7月
【住所】 宮城県本吉郡南三陸町志津川沼田100−62

宮城県石巻市のプロジェクト

石巻市は、集落から市街地まで範囲が広く、様々なプロジェクトが進行しています。

地域再生最小限住宅板倉の家/コアハウス

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牡鹿半島に建つ、災害復興漁村住宅のモデルハウス。設計は、アーキエイド半島支援勉強会コアハウスワーキンググループ。

漁師の生活向上に対応しつつ、生活環境に応じて増改築可能な住宅設計計画であり、規模を必要最小限に抑えながらも初期の建設投資の軽減が図られている建築です。内外装共に木の良さを感じられる住宅です。

【名称】 地域再生最小限住宅板倉の家/コアハウス
【竣工】 2012年12月
【住所】 宮城県石巻市桃浦寺下6 洞仙寺

石巻の鐘楼

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設計は、長谷川豪建築設計事務所

東京の建築展で建造したものを分解移築した鐘楼です。教会に併設された幼稚園の園内に建造されており、シンプルな造形ながらインパクトがあり、毎日定時に鳴る鐘は、地域のシンボルにもなりつつあるそうです。

【名称】 石巻の鐘楼
【竣工】 2012年12月
【住所】 宮城県石巻市大街道北2丁目12−2

前網浜ベニヤの家

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設計は、小林博人+KMDW+慶應義塾大学(資金提要:Architecture for humanity)

ベニヤ材のパーツを組み合わせて作られた建物です。デジタル加工機を使って切り出し、正確なプレカットを行うことで、資材の運搬が容易で素人でも組み立てられる構法となり、交通の便の悪いこの場所での精度の高い建物となっています。

【名称】 前網浜ベニヤの家
【竣工】 2013年3月
【住所】 宮城県石巻市前網浜前網29−3

おしか番屋

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漁港に建てる漁師のための番屋。設計は、萬代基介建築設計事務所。

今後の漁業の再建だけでなく観光など6次産業への展開も視野に入れた施設として計画されました。

現地の漁業者や奥さんたちと一緒にプロジェクトを進めているところが特徴で、部分的にポリカーボネイト折板の半透明の屋根を架けることで、様々な活動を一枚の屋根の下につなぎとめるデザインになっています。

【名称】 おしか番屋
【竣工】 2016年3月
【住所】 宮城県石巻市鮎川浜

七ヶ浜町のプロジェクト

七ヶ浜町では、2013年4月に遠山保育所、2014年10月に遠山地区避難所、11月に七ヶ浜中学校が竣工し、すでに利用開始しています。地区避難所と災害公営住宅も逐次竣工予定です。

七ヶ浜町立七ヶ浜中学校

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設計は、乾久美子建築設計事務所。東日本大震災で被災した中学校の建て替えです。

特徴は、生徒たちが語らいの場として活用できるように、片廊下の一部を膨らませる形でさまざまな機能・大きさを持った「リトルスペース」を各所に配置していること。「ロ」の字型の平屋棟が連なって、ネットワークを構成して全体を結び合っています。

【名称】 七ヶ浜町立七ヶ浜中学校
【竣工】 2013年9月
【住所】 宮城県宮城郡七ヶ浜町吉田浜小浜7

七ヶ浜町立遠山保育所

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設計は、高橋一平建築事務所設計。

東日本大震災後の2011年11月にプロポーザルが行われ、地域住民や役場、保育所の人びととワークショップを重ねながらつくられました。ロの字型の平面に保育室,ホール,調理室が中庭に面して配置されています。ロの字の回廊という厳格な形式性を持ちながらも、様々な立場の意見を受け入れる柔軟性を併せ持つ面白い計画です。

【名称】 七ヶ浜町立遠山保育所
【竣工】 2013年5月
【住所】 宮城県宮城郡七ヶ浜町遠山4丁目3-15

福島県相馬市・南相馬市のプロジェクト

南相馬市牛河内第二仮設住宅の集会所

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設計は、東北大学工学研究科五十嵐太郎研究室+はりゅうウッドスタジオ

アーティストにより派手に装飾された木造の集会所。隣接する「復興の塔」と合わせて、とても目立つ。単調な仮設住宅内において、地域のランドマークになるような力強さがあります。

【名称】 南相馬市牛河内第二仮設住宅の集会所
【竣工】 2013年5月
【住所】 福島県南相馬市鹿島区牛河内与手五郎内288

子どもアート・メゾン

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坂茂氏設計の相馬市のケア施設。

だ円形型の平面プランが特徴的で、施設内のガラス壁には野菜棚を設置されており、子どもたちへの食育も兼ねた自然のカーテンがあたたかみのある空間を創り出しています。

【名称】 子どもアート・メゾン
【竣工】 2013年5月
【住所】 福島県相馬市中村2丁目2−15
【開館】 毎日、9時~18時 休館日(12月29日~1月3日)

最後に!!

以上、被災地に建つ震災復興のための建築をご紹介しました。

どの建築も地域コミュニティの再興や復興のシンボルとしての機能を担わせるべく様々な工夫がされていましたね。

上記の施設の中には、パブリックスペースもあれば、利用者が限られているものもあります。

部外者の見学が可能となっている場合でも、周辺住民が使うためのものも多く、訪問に際してはマナーを守り、迷惑にならないように注意しましょう。

訪問時のポイントは、

  • 挨拶を忘れない
  • 建物の管理者に一声かける
  • 勝手に写真撮影しない・アップしない
  • 見学は静かに迷惑かけないように

です。

適切なマナーを守って、地域との関わりを楽しむことをオススメします。


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鷹h氏 (@noaru_takahshi) の戯言

鷹h氏
被災地の現状を知るためにもぜひ復興ツーリズムに行って欲しいと思います。

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